花女1

主人公。舞台上手から、原チャを押して歩いてくる。


「ちょっときいてよ~人魚~もう最悪なんだよ~~~!」

「新人が来たんだけどさ、東京から。店長が求人で呼んできた」

「美人でさー、いつもニコニコしててさー、人当たりもよくてさー、他の嬢ともすぐに仲良くなってさー、来て、すぐに常連客つくってさー。悪いところどこにもないんだけどさー、そこがさー、気に入らないんだよ~~!」

「私がさー、介護事務とデリヘル兼業しててさー、でもそれってさー、介護だけでもデリヘルだけでも、生活の稼ぎにならないからでしょー、それをさー、デリヘル一本でさー、なんかさー、あー、わからんくなってきた」

「年齢も私と同じ24でさー、東京で暮らしててさー、スペック高くてさー」

「つーか、出稼ぎって。月の10日くらい、東京からやってきて、こっちで稼いでるのね。その間、事務所の待機所で寝泊まりしながら。アレで、東京で風俗して食っていけないわけ?東京どんだけ求められるレベル高いんだよ。魔界かよ。そういうのもさー、しょんぼりポイントでさー。アレでダメだったら、どうすればいいんだ。私とか無理。上京とか無理」

「どっかでさー、東京に出たら何とかなるんじゃないかって思ってたのが、もう、完全に打ち砕かれたね。もう、私、この町で、ママンと二人暮らしていくしかないね。子供部屋おばさん一直線だね」

「なぜ私は高卒なのか。答え、父親が悪い。父親も高卒でさー、だから、娘が学歴持つのが嫌だったのね、たぶん。女に学問とか必要ないっていう。で、その結果がご覧の有様だよ。そんな父親は結果よそで女作って出ていくしさー!責任持てないんだから他人の人生に口を出すな縛るなって、ほんとそう思う。でなんの話だっけ。あ、そうそう、東京からきた女の話。花女」

「私、そいつのこと花女って呼んでるの。陰で。毎日、どっかで花を買ってきて、事務所に飾っていくんだけど。それも気に食わない。おかげで事務所は花だらけだよ。いつもどこからか甘い匂いがして。待機所の、こもった、空気の匂いが嫌いなんだって、それはわかるけど。でも代わりに花って」

「とにかくさー、もう、ほんと最悪なんだよ」


暗転



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