第13話
数か月後、クーデターがレン主導で発生した。
アラ村からはなんと十日かかると言っていたレンはここだけはしんどいと言っていたのだが、まさかの方法でレアが解決した。
それが召喚魔法だった。
召喚魔法は物や対象を任意の場所に召喚するものでその代償にかなり膨大な魔力が必要な魔法だ。
帝都の詳細な地図はここで役に立った。
正確にどこに召喚するのに必要だったようだ。
私が頑張って探したかいがあったということでかなり嬉しい。
私のときは大人十人ほどに魔力を借りたと言っていた。
魔力は一時的に魔道具に保存することができるのだが、保存期間が短くとても発動できるものでもないので一人でコツコツ貯めることはできないのだそう。
今回はその応用で同じ世界の対象を任意の場所に召喚することができるようにするとレアから聞いた。ただし、一度も召喚されたことのない人が対象だとも言っていた。私は無理ということだ。魔術の法が使えるほどの者でもいじれるのはその程度だと知った。
え、何私が教えた科学って結構やばい?
話は戻り、クーデターは成功した。
兄はレンによって捕縛され牢屋にぶち込まれたと聞いている。
さらに帝国をこの状態に追い込んだやつらも同時に牢屋に入れ、のちのち裁判にかけると公表した。
民が兵を抑え、その間にちょちょいと捕まえたらしい。
警備はかなりザルで誰も自分に危害なんて加えるやつはいないと思っていたようだった。最初の狩りでビビっていなくなったと元第一皇子は言っていたらしい。
何はともあれ、これで帝国との関係もよくなるだろう。
しばらくは賠償金の手続きとかで帝国側はかなり厳しいものになるだろうが食糧あたりの余っている分を帝国に買ってもらうことで賠償金をいくらか減らすことで王国も支援している。
皇帝がレンに変わったことで王国の国王も変わった。
国王代理としてこの件を動かしていたレアは帝国の脅威はなくなったと報告した。
その後、無事レアの戴冠式も行った。
戴冠式ではいつもつけていたティアラは外していた。
その代わりといったらちょっと変だけど、小さな白の冠を受けとっていた。
その後国民に挨拶をして戴冠式は終わった。
非常に短い時間だったけど、その時のレアは美しくて間違いなく世界で一番美しい女の子だった。
レアの公務室に呼ばれた。
呼んだ相手はもちろんレア。
この部屋は私の公務室になる。
レアの仕事の部屋はというと元国王さまのファーメアさんが使っていた部屋にお引越しになった。
やはり私はレアの私物を持っていくのを手伝わされた。
これは私の仕事なのかちょっと怪しいんじゃないかと思った。でも、やった。
最後にプレゼントをくれたから。
レアがつけていた大きな青い宝石のついたティアラ。
これはこの国の国宝の一つで魔石らしい。
なぜ青色なのかというと水属性の力を貯めて増幅させる効果があるとレバニラから以前聞いた。
「レナ、しゃがんで」
レアに言われ私は素直にその場にしゃがんだ。
レアはそのティアラを私の頭の上に乗せた。
「レナ、宰相就任おめでとう。これからもよろしくね」
レアは私にそう言った。
私は心から嬉しい気持ちに包まれた。
殺されるなんてことももうないんだと思いながら。
涙も出た。ボロボロ、もう号泣中の号泣。
そして、最後に一言レアは私に言った。
「レナ、誘拐してごめんね。もう少し私に付き合ってくれる?」
私は涙を流しながらも首を縦にこくんと頷いた。
ノアルプリンセス・ノアルミニスター まれ @mare9887
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます