第7話
帝国が所有を許されない湖とその管理を行っている一族の住む村を不法に自国の領土であると主張し領土侵犯をしていることが議題になっている。
貴族たちは今回のことを『許せん』だの『遺憾』などとしか言わず解決策やら改善策を一向に言わない。
私たちは考えていた。いい案はないかと。このままでは戦争が起きてしまう。
私は沈黙を破って訊いた。
「皇帝に止めるようにいうのはダメなんですよね」
「ずっと帝国を批判してるが何も変わらないどころかひどくなってる気がするな」
そう返してきたのは貴族の一人で周りの貴族より少し若い世代のセダンという男だった。
「それにアレは死ぬまでやりたい放題するでしょうね」
レアがこの話に乗って私に言った。
「殺せれば一番いいんだけど」
レアが続けてとんでもないこと言った。
「暗殺ですか」
「それはいかん。国際問題になって非認めなければならないのはこちらになる」
レアの一言に貴族たちが好き勝手ざわざわ喋り出す。
私はそれならと提案することを決める。
「あ、あの。発言してもいいですか?」
一応国王に発言の許可を求めておく。
「ああ。許可する。言ってみなさい」
国王の言葉にセダンを含む貴族たちは黙った。
快く許可をくれた国王にお辞儀をしてから私は提案をした。
「クーデターを起こさせるのはどうですか?」
現皇帝の政治体制はまるっきり変わったが有能だと思った者は今も残っているとレバニラが言っていた。その人たちにクーデターを起こすように嗾ける。国民の一部は反発し残りの民の半分以上は不満を抱えつつも吐いていない状態であることもレバニラから聞いたことがある。
「一体誰が指揮を執るのだ?それはまさかうちから出すつもりではないだろうな」
貴族たちから意見が出た。
確かに王国がトップに立っていれば問題がいろいろ起き、王国が世界からの次の標的になってしまう。それは避けなければならない。もし、そうなれば発案者である私が殺されることになるかもしれない。ここで死ぬわけにはいかない。
「では、ノタリアに亡命したと言われている第二皇子とその妹の第三皇女をトップにするのはどうでしょう。帝国内の人脈や人望もあるでしょうし、そのまま皇帝になってもらいましょう」
レアがそう言った。これに貴族たちもあらかた納得したみたいだった。
ひとまず、止まっていた会議が進み始めた。
あとはどうやってノタリアにいるその二人も見つけ交渉してやってもらうかというところの話を残りの時間で決めていく。
この会議自体は二十二時過ぎに終わった。ちょうど外は夕暮れで空が赤く染まっている。かなり長い会議だった。実に五時間もの間、話合っていた。
王国的にも重要な会議で、かなり勉強になった。
最後の議題だけちょっと殺伐としてた。
元の世界にも戦争はあった。だけど、しない国だったし人を傷つけるようなことは出来ればしたくない。今回は相手から先にやってるので容赦なしって感じなんだけど。
でも、この考え方じゃこの世界では甘いかもしれない。
元の世界より”死”というものがより身近で私自身もいつ殺されるかわからない。
宰相になれるかどうかの会議はまた明日、私以外同じメンバーで行われるらしい。
レアに評価をそれとなく聞いてみたが何も教えてくれなかった。
彼女が教えてくれないなんてこの世界に来てから初めてのことだ。
何かまずいことでも言ったかな。だとしたらクーデターくらいだけど。
でもその後作戦練ってたし。いや、でも、あれはみんなの演技かもしれない。こいつ死罪確定なって。どうしよ。生きれるかな、私。
そんなネガティブなことを部屋に帰ってきてからずっと考えていた。
この後晩御飯だからそれ終わったらお風呂入ってすぐ寝よう。今日はもう疲れた。
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