第4話
さらに一か月半、つまりこの世界に
知識もかなり増え、魔法の腕もかなり上がった。
水属性も光属性も中級魔法まで使えるようになった。
中級魔法とまでなるとこの世界の平均くらいの実力で使えない人もちらほらといるレベル。
レバニラの授業で習ったことなんだけど、厳密には魔法と魔術に分かれていて全く違うものらしい。
魔術と言うのが一般的に広まる初級魔法から最上級魔法のことだと。
一方魔法とは、極一部の人間にしか使うことが出来ない魔術の新たな
私は魔法なんて使えないし、魔術も中級までしかこの三ヶ月で使えるようにならなかった。つまり、それだけ才能があろうと努力なしでは使えるものではないというのがレバニラの教えだった。でも、それでも努力なしで出来てしまうのが天才と言われるのではないかと私は思う。
この世界の常識は難しい。元いた世界と生活の成り立ちが違いすぎる。
雲一つない真っ青な空、王宮の中庭に広がる花々の香り、それと爽やかな風。
それらを身体全体で私は浴びて中庭の一角にあるベンチに座って休憩をしていた。
中庭の中心にもお茶をするためのテーブルとイスがあるがいつも高貴な方々がいたので私がここに景観を損なわないようにこっそり作った。一応、レアに許可はもらったので何を言われようが無視するつもりだ。
「あら、レナ。またレバニラの授業サボってるの?」
またここにレアがやってきた。実はこれが初めてではなく何度か来ている。それも製作してるときから。
「やっほー、レア。そういうあなたは何しに来たの?公務は?」
私はレアの質問をスルーしてレアに質問を投げた。ほんの一瞬だが、話を逸らしたと睨まれた。私はそれもスルーした。
「私は公務室にいたらレナがお手洗いから帰ってこないとレバニラから言われ、しかたなく公務を中断してレナを探しに来たの」
やけにしかたないことだと強調してきたレア。
「それで?私を見つけたレアは公務に戻るの?」
「いえ、少しここで休憩することにします」
そう言ってレアは私製のベンチの私の横に腰を下ろした。
「あのね。今度、あなたに宰相としての仕事をいくつか手伝ってもらうことになったの。そしてその後に会議をしてそこであなたを私の宰相にするか最終決定するの」
ここで私の処遇が完全決まりそうと私は心の中で思った。なんとしても宰相にならなければ私の命がない。
「宰相見習いってことね」
「そうね。そういうことになるわ。何か今のうちに訊いておきたいことある?」
そうレアに訊かれ私は少し考えた。
「宰相ってなんか頭のいい人だったり真面目で堅い人がやることが多いと思うんだけど、レアは私でいいの?そんな頭良くないし真面目でもないし」
「宰相はね。そういう人も多いけど、みんな王が信頼できる人と思った人がやってるの。王が信頼する基準は人それぞれだから」
そういうレアに対して私はすかさず思ったことをツッコんだ。
「でもそれならレバニラの方が―――」
「私はあなたを信じてるの。確かに実力としてはまだレバニラの方が上。でも、一生私と共に歩んではくれない」
私の発言を途中で遮ってレアはこう言った。確かに彼はもうかなり高齢でそんなに長くは一緒にいられない。
「私なら一緒に歩めると?」
「うん。レナなら」
こんな状況でほぼプロポーズに聞こえるセリフをレアは一切顔を赤らめることなく笑顔で言った。
これが王子様の言葉なら確実に落ちていた。二つ返事を返していたほどに。
でも、私はすぐにはこの言葉を受け入れられなかった。
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