第3話

 レバニラの授業を毎日八時間受け、約一か月半が過ぎた。

 レバニラは知識といい教え方がすごい。それだけじゃなく、この世界には魔法が存在し、この世界のトップクラス。しかも、レアの家庭教師までしてたんだって。

 でも、ちょっとスパルタ気味で。

 よくレアの公務室に行って、レアに『レバニラのレバーでレバニラ作ったら美味しいかもね』と自分の世界のレバニラを説明した上で愚痴っていた。

 私、頭はそこそこで雑学とか好きだったタイプなんだけど、魔法扱うのはかなり難しい。



 私になぜ魔力があるのかというと、どうやら誘拐され…もとい召喚されたときに陣を書いてくれた人の流した魔力の一部が肉体に吸収されたらしいのだ。その影響で水と光属性の魔法を使うことができるようになった。

 この世界には火、水、風、土、光、闇の六つの属性に大きく分かれる。そして各々の属性の中にさらに派生属性として細かく分類されているものがある。が、今は特に関係ない。

 私のいるノアルタル王国には水と光を使う人が多いらしく、私も例に漏れず人並の魔力量があるらしい。レバニラの見立てだけど。

 魔道具もこの世界にはあって、それは疑似的な無属性である【魔力の欠片】を使って動いてるらしい。魔力の欠片は魔力を持っていれば誰でも作れる。というか使うときにマジで勝手に生成されるだけの話。なんの技術もいらない。ただ動けとイメージするだけでいい。これは実際私もやったから本当のこと。


 レバニラがスパルタ気味という話に戻すと、まず、午前中はみっちり座学があってここでこの世界の知識を得る。午後は三時間ほどぶっ通しで魔法の訓練やら基礎体力のトレーニングをして、その後一時間は一日の総まとめとして復習テストが行われた。

 疲れすぎて全然頭に入ってないし、点数は良くなかった。正直しぬかと思った。

 でも、始まって三週間くらい経つと身体が慣れてきて座学も魔法もちょっとずつ頭に入ってくる余裕が出た。この世界に来て初めて嬉しかった。



「ねえ、レナ。最近どう?ちゃんと休めてる?」

 正直全くと言ってもいいほど休めてない。苦笑いで返した。

「レバニラってほんとすぐ厳しくなるのよね」

 レアにも心当たりがあったようだ。同じようなことずっとしてきたのかな。

「あ、そうだ。レアに訊きたいことがあったんだ」

「何かしら?」

「レアに婚約者っていないの?」

 レアは玲奈れなに聞かれ少し顔が赤くなった。

 レアぐらいの年のお姫さまなら婚約者くらいいそうなのにこの一か月半一言もそんな人の名前やらが出なかった。

「こ、候補はいるけど婚約者と呼べる人はいないわ。求婚とか全部突っぱねてるし」

 不思議だ。受けておけばある程度民に安心感を与えられるのに。

「好きな人でもいるの?」

「いないわよ」

 今度は赤くなったりはせずマジトーンで返ってきた。あ、これ本気のやつだ。



「そんな話はいいの!本題があるんでしょ?」

 驚いた。私の訊きたいことの本題がこれじゃないってわかってたなんて。さすがレア、知識が少しなくなっても頭が良い。地頭が良いというか、良さが目立つというか。

「なんで、これが本題じゃないって思ったの?レア」

「なんとなく?」

 レアは微笑みながら疑問形で玲奈に訊くように言った。

 玲奈はこの回答に満足しなかった。なんとなくで自分の心が見透かされた気分になったからだ。

 やはり、私はここで使い物にならないと宰相になる資格がないと判断されるとレアに殺されるんじゃ……と玲奈は思っていた。

 玲奈は恐る恐るレアに本題を切り出した。

「レアは私に宰相になってもらって何をしてほしいの?ううん、それだけじゃなくて何を成そうとしてるの?」

 レアは玲奈にちゃんとした回答を玲奈の望んだ回答をすることができなかった。

『まだ、それをレナに話すことはできない。宰相になることができればそのとき話す』と、レアは確かに玲奈にはっきりと言った。

 私はまだ、宰相になることができない可能性がある。それだけでまだ信用ができないということだ。まだ、殺されるかもしれない状況が残っているのかと玲奈は深く溜息をついた。


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