もし■が■なら、■は

綿貫ワタヌキマコト

 それは、私の本当の名前ではない。小さい頃におじいちゃんから聞いたことがあって。綿貫ワタヌキって名字は本当は四月一日ワタヌキって書いてたんだって。でも、読みづらいし、まぎらわしいから、いつからか綿貫ワタヌキにしたんだって。

綿貫ワタヌキマコト

 それは、本当は私の名前ではない。お父さんとお母さんは、私達が双子だってわかったとき、お姉ちゃんをマコト、妹をミコトにしようって。でも、誕生日がずれちゃって、名前だけでも早くしたくて、妹をマコトにしたんだって。

綿貫ワタヌキマコト

 その名前は、本当は私ではない。私達は小さい頃から本当にそっくりで、入れ代わっても誰も気がつかなくって。マコトミコトも、私達にとってはファッションみたいなものだったから。だから私達自身、本当はどっちがどっちかは分からなくって。

 だから私の名前は……

 あの日真マコトだったのは……

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アンチノミー・ガールは嘘をつかない モリアミ @moriami

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