もしXがXなら、Xは
4月1日
どうすれば、学校に行かなくて良いか。今日は朝からずっとそれだけを考えていた。今日だけじゃない、最近ずっと、いや、ここに引っ越して来る前からずっとそれだけを、考えていた。でも、はっきり言って、これと言って理由何て、何もない。もしかしたら、こんな憂鬱、実際、何てことないのかもしれない、そんな気もしていた。案外始まってしまえば、普通に学校に行って、普通に生活が始まって、ただ今は、そんな未来が、耐えがたく憂鬱でしかたなくて、とにかく学校に行きたくない、それだけだった。
母さんは言ってた、環境が変われば全部良くなるって、でも、本当にそうだろうか。新しい街で、新しい家で、新しい学校で、誰も俺のことを知らない、誰も俺の過去を知らない、誰も俺の家族も知らない、俺がどんなやつなのか、俺がどんな中学生だったのか、俺の家族がどんなやつなのかも。それで、本当に全部良くなる訳ない。だって、俺は今、こんなに憂鬱なんだ。新しい学校で、高校生になったからって、何かが変わるとは思えない。
でも、もう時間は無いんだ。後数日もしたら、入学式があって、学校が始まる。それまでに、何か、何か方法は無いんだろうか。何だっていい、とにかく何か、何か逃げる方法があれば良いのに、そんな都合の良い方法なんて、有るわけが無い。今、丁度、近所の家から出てきた女は、見たくも無い学校の制服を着ていた。まだ、始まっても無いのに、なんで制服なんて、もしかして、部活とか何か準備とか、そんなのが有るのか。とにかく、俺を憂鬱にさせる格好だ。
そうだ、もし、もしも何か、例えば何か、学校の生徒に、生徒に何か有ればもしかして、もしかしたら、しばらく休みにならないだろうか。どうだろう、分からない、そんなこと有るだろうか。だけどもし、どんなことがあれば、学校が休みになるだろう。どんなことが起これば、良いだろう。そうだ、そういえば、母さんが言ってたっけ。引っ越したばかりで、この家には何も無いから、後で落ち着いたときに色々買いに行かないとって。そう、この家には余りものが無い。荷解きするのに、ハサミもカッターも無くて、それにそう、包丁も1本しか無かった。だからそう、何か、何かを買った方が良くて。何かそう、何か刃物を買いに行こう、絶対に、絶対にそれが良い。その方が良い。それで今日は、今日きっともう、学校のことは考え無くて良い。
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