第39話
葵はその時の事を、出来うる限り詳細に幸人に話した。
突如現れた狂座にアクセスした事。
名前も分からない三人に、消去を依頼した事。またその証拠まで求めた事。
その後、二度とアクセス出来ず、履歴すら残っていない事。
その経緯に至る全てを。幸人は半信半疑になる事も無く、ただ黙って耳を傾けている。
何故葵がこの様な事を幸人に喋ったのか定かでは無い。ただ関わりがあったのみならず、幸人なら信用に足る何かを感じていたのだろう。
そして今朝方、葵の携帯に届いた三つの画像。
送信者は狂座。だが宛先のアドレスは存在しないので返信も不可能。
届いたその画像には、葵を凌辱し、仔犬を無惨にも殺した三人の、凄絶な遺体の証拠画像だった。
************
「それを見た瞬間、私、自分のした事の重大さに、急に恐くなって……。あれだけ恨みを晴らしたくて……それが叶ったのに、後に残ったのは……」
葵は続く言葉を詰まらせる。
それは後悔? 哀しみ? 虚しさ?
ただ一つだけ分かった事は、葵は決して満足も救われてもいないという事。
憎しみは新たな憎しみを産み、それは果てなく連鎖する。その哀しみの螺旋は決して終わる事は無い。
“それが人のみが生まれ持った業なのだから”
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