第25話
「罪状――市岡 明、園田 雅司、岩崎 一博以下三名。現在まで傷害395件。恐喝及び窃盗計588件。被害総額1264万5933円。婦女暴行被害者数122名、未遂現1名。全て把握」
『雫』は三人へ向けて、これまでの悪夢の如き所業を高らかに述べていく。
「んなっ!?」
これには流石に三人も、図星を突かれて固まったかの様に立ち竦んだ。
そもそもこれは補導等により、明るみになった件数のはずが無い。当の本人達ですら、これまでの正確な所業件数等、覚えているはずも無いのだから。
“それを何故知っている?”
“ここまで正確に?”
“全く面識無いはずの者が?”
何より自分達の名前まで、見知らぬ目の前の者が正確に知っているという事実に、得体の知れない様々な思惑が交錯していた。
「よって、これより……“消去”を開始する」
罪状を述べた『雫』は、右手を目の前に掲げ、三人へ向けて威嚇に近い“何か”を顕にしていた。
「てっ! 適当ぶっこいてんじゃねぇぞテメェェェェェ!!!!」
「俺らを誰だと思ってやがる!!」
「ぶっ殺されてぇか!! ああん!?」
『雫』へ向けて怒声を吐き捨てる三人。一人が懐から取り出した、妖しく光るバタフライナイフを剥き出しにした瞬間――
「はっ!?」
「えっ!?」
空気が破裂したかの様な、形容し難い鈍い音が鳴り響いたと同時の事。
三人は目の前で起きた現状に、驚愕と疑惑を抱かざるを得ない。
“一体何が?”
先程まで捉えていたはずの三人の瞳には、その姿を映してはいなかったのだから。
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