第24話

「なんだテメェはぁっ!! 何勝手に人の車乗ってんだよ!?」



男は目の前の状況に対し、怒声を張り上げていた。



何故なら運転席には、見知らぬ人物が居座っていたのだから。



「オイどうした!?」



「何叫んでんだよ?」



怒声に気付いた二人が、運転席の方へと寄り集まってくる。



「コイツが勝手に俺の車に乗ってんだよ!!」



運転席の人物は、いきり立つ三人を尻目にゆっくりと地へ降り立つ。



その得体の知れぬ雰囲気に何かを感じ取ったのか、三人は無意識に後ずさっていた。




“少なくともまともじゃ無い”




黒衣を纏った、それと相反する燃える様な銀色。



「お前達の行き先は欲望の果てでは無い……」



その深い銀色の瞳で三人を見据えて。



「逝き着く先はただ……地獄のみ」



コードネーム『雫』はそう、事も無げに宣告していた。



「はぁ? なに寝惚けた事言ってやがる!!」



「あっぶねぇ目しやがって!!」



「テメェどこの馬鹿よ!?」



飛び交う三人の怒号。



見知らぬ者に車に勝手に乗り込まれたのみならず、突然地獄行き等宣告された処で、理解出来ず混乱するのは当然の事だろう。

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