第23話

************



「いやあぁぁぁぁっ!!」



都会の喧騒の片隅で、女性と思わしき叫び声が響き渡る。



辺りには人影の無い建造物の死角。



「――むぐっ!!」



女性は何者かに羽交い締めにされ、更にその口を塞がれる。



「ちっ、うるせぇな! オイ、あれ使えあれ!!」



「ククク、ああ待ってろ」



女性を羽交い締めにしてる男の正面から、何者かが近付いた。



その右手には何やら、黒い機具らしき物が握られている。



男はそれを女性の腹部へ押し付けた刹那――



「――っ!!!!!!」



女性は激しく痙攣した後、その抵抗は力無く失う事となった。



「どうよ20万ボルトの味は?」



改造スタンガンと思わしき凶器を手に、嘲笑う一人の男。



「ヒャッヒャッヒャ!!」



「死んだんじゃねぇか? アハハ」



それに追従する様に、意識を失った女性を取り囲む三つの人影。



三人共に体格は良く、下品に染め上げた金髪に、これまた下品なパーカーをだらしなく着こなしている。



本当に下品な出で立ち、もとい笑い声だった。



その嘲笑う表情には、人の側面にある醜悪さに満ち溢れていた。



「さっさと連れ込んでヤッちまおうぜ!」



「財布から金抜くのも忘れんなよ!」



三人は水商売風と思わしき女性を無造作に引きづり、近くに停めてあった黒いワゴンへ向かう。



時刻は既に午前零時を回っていた。



「女は後ろに放り込んどけ。さあ出発だ!」



一人の男が意気揚々と運転席のドアを開ける。



「……は?」



そこに飛び込んできた有り得ない光景。



突然の事態に男は一瞬己の目を疑い、そして驚愕に見開いていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る