第18話
「今回のターゲット、市岡 明(イチオカ アキラ)、園田 雅司(ソノダ マサシ)、岩崎 一博(イワサキ カズヒロ)の三名。経歴通り高校卒業後、これまで傷害、恐喝、窃盗、婦女暴行等々、定職につく事もせず、己の欲望の赴くままに行動してきた。まあ……典型的な屑ですね」
琉月は対象となる三名のこれまでの経歴を、淡々と簡潔に述べていく。
「改善の余地も見当たりませんし、世の為人の為これからの為、この三名にはこの機会に消えて貰うのが最良かと」
その口調には一切の感情も無い。あくまで合理的に、ただ道端のゴミとしか見ていないかの様な物言い。
「おぉ、オレに負けず劣らずの毒舌っぷり。嫌いじゃねぇぜそういうの。オレも同感だな」
ジュウベエが琉月の物言いに、感心した様に同調する。
「お前はどうなんだ幸人? 少なくともコイツらは救いようが無いと思うが……」
たが幸人に同調等の変化は無い。ただ書類のみに焦点を定めていた。
「クライアント」
左手に持つ書類を見詰めながら、右手を差し伸べ、琉月にそう促す。
“依頼はターゲットとクライアントを以て、初めて成立する”
ターゲットのみで判断していない幸人のそれは、二人以上に理論的判断の顕れであった。
「こちらが今回のクライアントです」
琉月も最初からそのつもりだったのか、今回の肝となる書類を幸人に手渡した。
それを右手で受け取り、左手の書類から目を離し、新たに手渡された方に目を通す。
「…………!!」
それはほんの一瞬の事。
「フフフ……」
それまで機械の様な、感情で動く事の無かった幸人の瞳が、ほんの一瞬だけ確かに見開かれていたのを、琉月は見逃さなかった。
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