第12話
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幸人は町外れの廃校、その正門前で歩みを止める。
「相変わらず不気味なとこだな……。こんなシケたとこでやんなくてもいいのにな」
ここは二人がいつも訪れる場所。だがいつ来ても愉快な場所で無い事は、ジュウベエの反応からしても明らかだ。
その荒れ具合から、廃校になってゆうに十年以上は経過しているだろう。
地元では有名な心霊スポットとして、また呪われた校舎として近寄る者はいない。
幸人は特に臆する事無く、校舎内へ歩みを進める。
行き先はいつも決まっていた。
「やれやれ……虎穴に入らずんば、鬼を得ずってか?」
「……虎穴に入らずんば、虎子を得ずだ。まあ……あながち間違ってはいないがな」
冗談混じりに入口に向かう二人(否、一人と一匹か)
不気味にそびえ立つ二階建ての木造校舎が、二つの黒い存在を更なる闇で呑み込む様に、徐々にその姿を掻き消していくのだった。
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