第11話

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夜の街路樹を歩く幸人の姿。まだこの時間帯は街灯もちらほら見える。



だがそれでも幸人の姿は、自然な程に闇に溶け込んでいた。



「もうすぐ冬とはいえ、この時間帯は冷え込んでくるぜ……やだやだ」



幸人の左肩に乗ったままのジュウベエが、溜め息混じりにそう呟く。



“猫は寒いのが苦手”



“猫は炬燵で丸くなる”



非日常な一点を除けば、ジュウベエは普通の黒猫にしか見えない。



「…………」



幸人は無言で歩みを進める。




本当に寒い夜だった。



季節は十月の半ばに差し掛かっており、秋も終わりに近付いてはいるが、その冷え込みは冬の到来と言って差し支えない程の。



“だがこの寒さは果たして季節のせいだけ?”



それはまるで、これから起こる事を暗に示すかの様に。

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