第4話 魔法もスキルも便利なのですよ
「お父さんわたしが解体しようか?」
キャンピングカーから少し離れた場所でお父さんとゴロタはイノシシを眺めている。
「おっと澪か、じゃあスキルで解体頼めるかな」
「はーい」
わたしは元気よく返事をして大きなイノシシを触る。
「解体」
イノシシは一瞬だけ光るとバラバラになって、牙、皮、お肉に変わる。
これはスキルの解体の効果、生きている物には使えないけど死んでいる物に使うとこんな感じになってくれる。
「澪の解体スキルはいいな、いつも助かるよ」
「そうかな? そうなら嬉しいな」
「ほんとほんと、それじゃあ澪はこのお肉を半分は母さんに渡して残り半分はゴロタ用にご飯作ってもらった来て、お父さんは残りの素材を片付てから戻るから」
「はーい、じゃあ行こゴロタ」
「わう」
わたしはお肉を持ってゴロタと一緒にキャンピングカーに戻りお母さんにお肉を渡す。
「今日は焼肉を作るわね、ゴロタも少し待ってねすぐ用意するから」
「わふ」
わたしはシンクで生活魔法を使い水を出して手を洗う。この生活魔法というものはすごく便利、この世界に来てしばらく経った頃どこからか『生活魔法を獲得しました』と声が聞こえ、使い方まで頭に浮かんできた。お父さんとお母さんも一緒だったみたい。
生活魔法で出来ることは、少しの水を出す、お父さんのライターくらいの火をだす、ドライヤーみたいに風を出す温度も変えれる優れもの、あとは服や体の汚れを落とせるとかかなり便利。この魔法がなければ途中で水不足で大変だったかも知れない。
手を洗い終わったのでお母さんのお手伝い。お母さんが摘んできた食べられる野草と果物を洗って盛り付ける。直ぐ側でジュージューと焼けているお肉のいい匂いがしてお腹がぐぅ~となってしまった。
「あらあら、もう少し待ってね」
うぅ~恥ずかしい。
「ただいま、うん良い匂いがするね」
「お父さんおかえり」
「鋼さんお帰りなさい、もう少し待ってくださいねゴロタのを先に焼いちゃいますから」
ゴロタが入り口から見える位置で寝転んでいる、大きくなったせいでキャンピングカーの中には入れないのは少し可愛そうに思う、ゴロタ自身は気にしていないみたいだけど。
「はい、ゴロタの分出来たわよ、澪ちゃん持っていってあげて」
「はーい」
わたしは大きなお皿に乗ったいっぱいのお肉をゴロタに運ぶ、いつの間に起き上がったのかお座りして尻尾がぶるんぶるんと振られている。お皿を置いて「まて」をする、しばらくしてから「いいよ」と言うと、飛びつくように食べ始める、すごくおいしそうでどんどんお肉が無くなっていく。
しばらく眺めていたら「澪ちゃん出来たわよ」と呼ばれたのでキャンピングカーの中に入る。テーブルの上にはお肉と野草と果物、それに半年ぶりくらいのお米があった。
「お米!」
「さっき追加で買ったのよ、炊いている時間がなかったから今日はレトルトのになるからね」
「ううん、今日はこの世界に来て一番豪勢なご飯だと思うよ」
「それじゃあ食べようか」
「「「いただきます」」」
お肉とご飯を一緒に頬張る、お塩以外の味がしていつもより美味しい。
「うん、美久さんのご飯はいつも美味しいな、これでビールでもあれば最高なんだがな」
「そんな事いっても買いませんからね、もうちょっと余裕ができたら考えましょ」
お母さんのスキル植物鑑定で調べて採ってきた食べられる野草や果物にも、今日はドレッシングがかかっていていつもより美味しい。赤チャットをくれた紳士さんには感謝だね。
久しぶりのお米と調味料のご飯は美味しくてあっという間に食べ終わっちゃった。
「ごちそうさまでした」
食器を持ってキッチンへ移動して、先に食べ終わっているお父さんとお母さんの分も一緒に洗う、洗剤代わりに使っている泡が出る小さな木の実を潰して泡立たせる。
「洗剤も買ったほうが良いかしら?」
「この木の実まだあるし買わなくてもいいと思うよ」
「そう? 澪がそれでいいならもっと余裕ができてからにしましょうか」
ぱぱっと洗い終わりタオルで拭き拭き、うんきれいになったね。食器棚に収納して片付けは終わり。
「そうだお母さん、明日の配信で相談したい事があって少しいい?」
紳士さんから託された5万円であれを買わないとね、良いのがあるかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます