持たざる者が、物語に憧れる。
よくある話ですし、幼い日の私にも覚えがあります。
だけど、その憧れを現実にするために選んだ方法が芸術だとしたら?
しかも自分で物語を描くことだとすれば?
最初は童心に返った気持ちで読み進めました。
だけども、見守るような気持ちはすぐになくなって、没入しました。
物語を描くことに四苦八苦する主人公の情熱はまぎれもなく本物で、その苦しみも、まぎれもなく等身大のソレだったからです。
持たざる者が、力のない者が、憧れを目指す。
その答えを、ひねた極論や歪んだ形でなく見せてくれるかもしれない……
そんな期待と、希望を持たせてくれる作品です。