コードネームWWから定時連絡があった。
WWとはwood winter、
つまり木冬のことである。
「陸斗さま、しおり様が動かれたのですね。」
「そうだ、見事な事件解決だった、君にも見せたかったよ。」
「そうでございましたか、それはよろしゅうございました、それではリムジンを回しておきましょう、おっと、しおり様が遅いので心配してお迎えにあがったということでよろしいですな。」
「ああ、よろしくお願いします。」
「MI6のバンコラン中将にも報告しておくべきだろうな、英国警備業法の手続きも全て彼がやってくれたわけだからな。」
エマは尋ねる。
「英国警備業法って?」
「英国では西暦2000年までは誰でも探偵になれたのだが、探偵の質を担保するために2001年に警備業法(Private Security Industry Act 2001)が制定され、探偵業を含めた民間警備業全般の法規制が規定されたんだ、2006年に法律が施行された後は警備業監督委員会(SIA: Security Industry Authority)が認定したライセンスを持たない者は探偵になれなくなった、しおり様は5年間の訓練でNVQ in Investigations(NVQ調査業務資格)のレベル4を特例取得したわけだ、こんなもの取得できる小学生は世界でも片手もいないだろう。いかにしおり様が優秀であるかわかるか?」
「よくわからないわ、とにかくすごいのね。」
「しおり様の高祖父は当時の軍務卿をしていたのだが、それ以前から代々探偵業の家系なんだ。平安時代には検非違使と呼ばれていたかな。明治維新とともに正式に探偵業が設置されて現在に至るわけだ。もちろん特別捜査許可証が発行されているのは藍原家の人間だけだ。」
「うちの藤原家も検非違使のルーツを持つけどその他流ということなのね。」
「そうだな、それにしてもNVQ in Investigations(NVQ調査業務資格)のレベル4を取るとなるとかなりの覚悟と強い意志が無ければ無理だろう、そこまでしおり様を突き動かすものが何なのか、想像もつかないな。」
二人は顔を見合わせて残務を片付けた。
程なくして柊のリムジンが到着し、三人を乗せて走り去る。
「今日の事件で小学生探偵団の存在のニュースが日本中を駆け回った。犯罪者はこれからは周りの普通の小学生の目も気にしながら動かなくてはならないわけだ。犯罪の抑止効果は抜群だろうな。内閣情報局の目論見通りということか。しおり様方3人による次なる活躍が楽しみだな。」
陸斗はポツリと独り言を言った。
完
作者からの返信
ここまで面白いサイドストーリーを書いてくださり本当にありがとうございました!
次回も楽しみにしてださい!!
第一章、楽しく拝読いたしました。素敵な作品をありがとうございます。
作者からの返信
こちらこそ、読んでくださりありがとうございます!
時間を作って貴方の作品も読ませていただきます。