3.ギャルは気づかず自分を救う

こぼしちゃった!!

 あああああああああああああああああ。


「わ、うるさ」

「どうしたのあっちゃん」


 あぁ友よ!! ツネヨとこっちーアタシのスペシャルフレンドよ!! あっダメだ!! やっぱり終わってる!!


「今日、何もかもダメな日なんよ~~~!!」


 マジでヘルプミー。

 だってアタシが二人を「スペシャルフレンド」呼ばわりに留まってるのが既にやばやばのやばじゃない? いつもだったら「スーパーエターナルウマガアウ・ズットモフレンド」くらいには言ってるじゃん。何スペシャルフレンドって。普通過ぎてびっくりだわ。

 アタシの天才的語彙今日どこ行った? 家庭科のヤマダに吸い取られたんか?? アイツいっつも語彙ないもんね。調理実習の時は「ここで塩をどばーーーん!!!! 『おいしくなあれ』って言えば大抵どうにかなる!! 皿にどーんやってポンポンポォン!!」だもんね。アタシの語彙うらやましくなったか?? ヤマダの語彙も結構好きだぜ。


「スペシャルフレンドも全然普通じゃねぇしスーパーエターナルウマガアウ・ズットモがダサすぎてびっくりだわ」


 しゃらっぷ!!

 そもそもダメなのは語彙だけじゃないっつーの!! 今日はメイクのノリ悪くて田舎から越してきたアナグマみたいになってるし、寝坊はするし授業中は寝るしシャツは生乾きだし、週一で変えなきゃいけないツネヨのあだ名は今秋まだ思いついてないし!!


「私のあだ名って義務感だったの? ウケるんだけど」

「アタシとツネヨのあだ名は友情の印でしょうが」

「普通のあだ名ではダメなの……?」

「ダメなんだよこっち~~~~~!! そだ。こっちーも何か試しにつけてみてよ」

「え、えぇ!?」


 アタシに無茶振りされたこっちー。今日も柔らかいセミロングを揺らして悩んで、今日もキュートな声が言った。


「……つねちゃま?」


 天才か???????????????????


「『ママァァァァ!!!!』って言ってそうwwww」

「ママァ!!」

「やめろつねちゃまww 腹が痛いwwww」

「アンタより全然こっちーの方があだ名センスあるだろ何だカザンって」


 確かにつねちゃまはよすぎる。全日本あだ名生成世界ランキングがあったら優勝してるわ。


「『全日本』なのに『世界ランキング』なのも訳わからん」

「だからダメな日なんだって許せ」


 そう! しかもいっちばんダメなことがあったのよ。あのこと思い出すと地獄みたいなうなり声出せる。地獄の番犬使役して誰かを地獄に落とせんじゃないかってくらいの声よ。やばいぜ? まぁ誰を地獄に落とすかっって今聞かれたら確実に「アタシ☆」ってめっちゃ可愛いさわやか笑顔で答えちゃうけどね。ケルベロス……もうぼく疲れたよ……なんだかとても眠いんだ……。


「はいはいはいはいはい」

「どしたつねちゃま? はいはいしたいの? ママって言ったら幼児退化した?? はいけんチャレンジする??」

「は? 拝見?」

「はいはいしながらけんけんすること」

「意味わからん……ってちげぇよ!! はいはい話聞いてやるよっつってんの!!」

「わ、私も聞くよあっちゃん。あっちゃんが元気ないと、私もさみしいもん」


 も、持つべきものは友だちだぁ!! アタシの友だちホント天才。DP(ダイスキポイント)たまっちゃうじゃんね。といっても元々DPは100000000000000ポイントありますが??

 それではお話するか。話せば長くなる……聞いてくれたまえ……、



 天空くんの制服にジュースこぼした。

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