2. ギャルは気づかず店を救う
紹介しちゃった!!
「というわけでこっちーです、よろしく!!」
「というわけでじゃないんだよな今の今まで授業中に飛んでた鳥の顔がブサイクだったって話してたんだよな『というわけで』の接続詞の使い方知ってる????」
「??」
「?? じゃないのよ。え、私がおかしい?」
うん。おかしいのはアタシじゃなくない?
だってアタシ賢いし!!
はぁ、とため息ついて、ガシガシと頭掻いてんのは友だちの「カザン」。華のセブンティーンだっつーのに、がばっと脚を広げて座って、色々とゆるいのが何というか、さすが過ぎる。ブラジャー変えた? 前の方がカザンに似合っててすこ。
カザンって分かる? あの「火山」ね。こいつ長い赤髪なんだけどさぁ、前に何かしてた時に頭から泥水かぶって、どろどろになったのね。それがマグマみたいだったからカザンって呼んでる。つい先週のことよ。
「アンタ週一であだ名変えてくるからほんとヤダ」
「そういわないでよぉ~~~~アタシとカザンの仲じゃぁぁぁん」
「アンタと『カザン』の仲は一週間なんだよアホ」
「は? かしこいし!!!!」
「あ、あのう……」
いけない、こっちーのこと忘れてた。
アタシとカザンを見比べて、おどおどと肩を縮こませてる。ちなみに腕にはネコ。置いてくんのもアレだったし、授業中の教室連れてきちゃったんだよねぇ。
先生はちょっとアタシとネコを見ると「まぁいつものバカ自由な行動か」と言っただけで怒らなかった。ちょっと。許してくれたのはプラスだけどアホっつったのマイナスだよ。プラマイゼロ!! せんせーのパチンコ癖で財布の中はマイナスなくせに!!!! 知らないけど!!!!
「こっちー困ってんじゃん!」
「え、私のせいなん? え??」
「ごめんねぇうちのカザンが」
「
「この見た目でツネヨってやばくない?? おばあちゃんみたいでウケるよね」
「あやな今全国のツネヨ敵に回したかんね? 覚えとけ?」
はっ。全国のツネヨが私にできることなんて高が知れてるわよ。
「これからアンタが人生で食べるおにぎりの具を、全部ツナマヨにするっていう呪いかける」
「勘弁してください」
ツネヨ強い。
「恒代ちゃん……です、ね」
「敬語やめよ。はぁ、っていうかアンタが卯月琴。顔気になってたのよねぇ可愛いじゃん」
「あ、ありがとうございま……す?」
こっちーがきょとんと首を傾げてる。
うんうん。カザンならこっちーと仲良くしてくれると思ってたぜ~! 見た目はチョー怖いけど、サバサバしてるし頓着ないし、付き合いやすいんだわ。
まぁカザンとは去年高校で運命の出会いを果たしただけで、昔っからの付き合いじゃないし、よくわかんないとこもあるけどさぁ。
もうすでにずっ友でわ??
「ずっ友ウケる」
「仲、良いんですね」
「そうだよぉ、ねぇカーザン!!」
「だぁぁぁターザンみたいに言うな!! 抱きつくな!! お前の濃すぎるリップシャツにつく!」
それを言ったらカザンのパープルリップの方がヤバいから。この前事故チューした時しばらくほっぺから取れなかったからね??
「それにしても、捨て猫にトーコーキョヒのクラスメイトと。お前は色んなモン拾ってくんね」
バッサリ言うよね。
アタシは良いけどこっちーの目が怯えたからやめたげて。アタシだってそーゆー気遣いはできんのよ。賢いから分かっちゃうの。
「どーこーが気づかいじゃ」
クラスはざわざわしすぎて、アタシたちの会話は聞こえてないらしい。おかげで「卯月琴」の存在も案外気づかれていないみたいだ。みんなの目は節穴なんか?
三人で弁当を開く。ふっふっふ。アタシのママ力作、アンパンマンのキャラ弁当~~~~!! 最高~~~!!!! アタシの友だちに愛と勇気が追加されました!! テレテテッテテー。
カザンは夕飯の残りと冷食を詰め込んだようないつもの弁当、こっちーはおにぎり一つだ。一つ?? 信じられん。やせすぎてお腹と背中くっついてコピー用紙みたいにならない?? そんでテスト用紙に間違えて使われたりされない?? 大丈夫そう??
ぐさっ。カザンが箸でおかずぶっ刺して大口を開けた。ワイルドか。
「教室行きたくないっつってんのよ? 何連れこんでるわけ。それ気づかい?」
「連れこんでるってヤバい空気を感じた」
「どの場所想像したん?? 言ってみ??」
「あ、いや私は……その、最後は自分で決めたことなので」
「ほら~~キレイなこっちーの前でそんなヒワイな話しちゃいけませぇ~~~~ん」
「エロいとこ想像してたってことはよく分かったわ」
あーー!! あーーーー!!!! こっちーの両耳ふさぎます。はい、ダメーーッ。
こっちーの耳をふさいだら、ネコに白い目で見られた。ひっど。ってかマジでアタシに助けられた恩忘れてやんの。こっちーに引き取られてぬくぬく生活してちゅーるでもなめてろバーカバーカ!
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