第7話 主人公(かたりべ)交代

私の本当のお母さんは、いつも家にはいなくて、私が朝起きたら、男の人とベットで寝ている。そんなような人だった。日中はぐうたらと、怠惰を極めていて、夜中は夜のお店で働いていた。そんな日々を過ごしていたある夜中、一万円の札束と、お母さんと小汚いおじさんたちがビデオを持ちながら、私を起こした。


「おじさん達、なに?お母さん、このおじさん達、だあれ?」


「あなたは今から少しだけおじさん達の玩具になるの」


「どういうこと?玩具ってなあに?怖いよお母さん!!お母さーん!!」


「この子を10万で好きにできるのか、わるくないねぇ、おじさん達が君を快楽人形にしてあげる。」

「いやあー!!!!!」


そして後でお母さんが交通事故で死んだ後に見たそのビデオは10時間以上になっていた。

その10時間で私の人生は崩壊し、身も心もボロボロとなっていた。そして私は"可哀想な子供"として施設でも大切に育てられたが、私の心に負った深い傷は多分一生消えない。それを"上書き"してくれるものがずっと欲しかった。そんな何年か経ったある日、私は、白い部屋ではない世界の景色を見たくて外へ出た。その日は土砂降りの雨が降っていて泣き続けるにはちょうどいい日だった。泣く日にちょうどいいもない、とも思ったがやはりその日で良かったと私は思ってる。何故なら過去の出来事を"上書き"してくれる素敵な人に出会えたから。私がその人の家族になるのはそこまで難しくはなかった。もうそろそろ、施設を出れる年だったこと、施設にとっても私は"いらない子"だったことでその次の週には晴れてその人の家族になれた。私は思った、この人に一生尽くそう、私はこの人のために生きる、この人になら身体を求められてもいい、とすら思った。私の止まっていた時間を、凍っていた心を、優しく、体温で溶かしてくれた彼を今でも心の底から、





愛してる



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