第2話
はじめてあった日から、毎日メールで連絡を取り合っていた。
一緒に歩いてみたくて、一緒に電車に乗ってみたかった。
食べ物は何が好きなのか、どんな音楽を聴いて、どんな本を読むのか。とにかく、いろいろきいてみたくて、でもその全てを、お互いに最初から知っているような気もした。
それだけ私たちは、同じ時代の同じ場所に、生まれるべくして生まれ、出会うべくして出会ったのだと確信していたのだ。
それまでの私は、自分自身の嫌いな部分を凝縮させたような相手とばかり付き合っていた。そうすることで、自分自身を肯定しようとしていたのかもしれない。そしてそんな相手にしか、自分は愛されないのだとばかり思っていたのだ。
でも、こんなにも、ただただ好きと思える人が、私に興味と好意を抱いてくれる。それは奇跡であり、「許し」だった。私は自分にとっての闇ではなく、光に向かって生きられるのだ。目の前に置かれた錆びついた鏡が、丸ごと取り替えられたようだった。ピカピカに澄んだ鏡の前で、私はただ幸せを感じていた。
そこに善悪の判断は存在しなかった。
トラスロッド @Kawahagisashimikimojyoyu
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