第50話 魔晶石

 次の日、予定通りドリームカルテットのメンバーがギルドへ集まって、ダンジョン攻略計画を提出し、ギルドでCランクと祝賀会の話をして、ダンジョンへと向かった。4層まで一気に登り、4層の洞窟に入ったところで、休憩をとった。


「ここから、4層を突破して5層に向かうけど5層で、魔晶石を皆の分3つ取りたいんだ。僕のはあるので必要ない。実は、魔晶石に溜めた魔力を身体に戻す方法を見つけたんだ。皆も使えれば、MPが切れそうになった時に補給できる。」

「そんな事が出来たら、大発見だよ。」

「僕は出来たけど、効率は5割ってところだった。皆にも試して貰って、有用なのか確認したい。誰でも使えるのなら、ケイトが言う通り大発見だと思う。マリには試して貰ったけど、人が溜めた魔晶石に途中から違う人が魔力を流そうとしても魔晶石に拒否される。魔晶石に魔力を流さないと吸い上げることもできないので、自分用の魔晶石を確保する必要がある。なので、魔晶石を後3個確保したい。」

「もし、誰でもが使えたら魔晶石の価格が跳ね上がるね。」

「そう、だから暫くは秘密にしておいて欲しい。ギルドには、皆が使う分の魔晶石を予備も含めて確保してから、報告しようと思っている。」


 ケイトが価格の上昇を指摘したので、魔晶石をある程度確保してから情報を公開すべきとの話をして探索を再開し、4層を突破する。5層に入る前に後ろから他のパーティが来ていない事を確認して、階層主エリアで昼食を取りながら組み分けをおこなった。

「沢山の魔晶石を探すのに、5層の広大な砂漠を広く探索する必要がある。魔晶石がある大口ワームの巣を叩くには、2人以上が必要だけど皆で同じ場所を探索すると効率が悪い。大きく右ルートと左ルートに分けれて、階層主エリアに向かいながら探索しようと思う。」

「ツグトと僕は、大口ワームの巣を探す方法を知っているので2人は分かれた方がいいだろう。」

「それならツグトと私、ケイトとミャオで前衛後衛がセットで動いた方がいいね。」


 ケイトが僕と分かれた方が良いと言って、マリが前衛後衛のセットを主張すると自然と組み分けができた。その後、2組に分かれて魔晶石探しに入る。


「マリ、風が凪いで砂煙が治まったら背中合わせになって砂が舞っている所を探すんだ。大口ワームの巣は4,5匹が絶えず蠢いているから風が凪いでも砂埃が舞い立っている。それさえ見つければ、気付かれないギリギリまで近寄って、威力の高い攻撃を巣に叩き込む。警戒していない状態の大口ワームは、皮膚に魔力を纏っていないから、口からねじ込まなくても攻撃が通るんだ。」

「よく、そんな捜索方法や攻略方法を思いつくね。私とミャオなら一日中砂漠をうろついて1つ見つけられたらいい方だよ。」


 マリに巣の攻略方法を教えて、砂漠を歩きながらマリの住んでいた森の魔物の話や、僕の故郷のギルドの話をしながら、風の凪いだら巣を探す作業を繰り返しながら進んだ。マリと他愛の無い話をするのは楽しい。知らない魔物の話も興味深いが、マリの子供の頃の話を聞くのが嬉しいのだ。そうしながら、夕方までに2つの魔晶石を採取して、階層主のエリアに辿り着くと先にケイトとミャオが待っていた。ケイトの組も魔晶石を2つ取れたとの事で5層の階層主を倒して、今夜の野営の準備に入った。


 その夜、夕食を終えてから魔晶石に魔力を流す方法を教える。皆、剣や盾に魔力を流す方法は実践済みなので、直ぐに流し方を覚えた。残りのMPを流し込んでから就寝して次の日に備えた。


 6層のスケルトンジェネラルは、パーティで倒して7層へ進む。高速ネズミの対処で、マリが訓練してシャープさを増したナイフで切り付けると、鉄の帽子ごと真っ二つにする事ができていた。

「マリ、訓練の成果が出たね。良い切れ味だよ。」

「あぁ、ツグトに見て貰ったおかげだよ。ありがとう。」


 マリの訓練の成果を確認して、6層の階層主エリアに入る。ここでは、スケルトンジェネラルとの訓練で会得した受け流しを使って、『ネズミの木』の鞭攻撃を地面に受け流す事で鞭を地面に潜り込ませ楽々と『ネズミの木に』の懐に入る事が出来た。後は、上から降ってくる高速ネズミを対処しながら、木の本体を削るだけなので、対処が楽になり瞬殺して次へと進む。


 6,7層を2時間で踏破していた。ここで、8層に入る前に、階層主エリアで魔晶石からMPの吸い出し方法を実践してもらう。

「両手に魔晶石を持って、呼び水として魔力を少し流し込み反対の手に魔力循環の容量で魔力を吸い上げるんだ。魔力が吸いあがりだしたら、流し込む魔力を止めて吸い上げだけを行う。体全体に魔力が行き渡ったら吸い上げも止めて、魔力が体になじむのを待つ。魔力が体の中心あたり集まってきたのが判れば成功だよ。」


 個々に、カードでMPの残量を確認してから、MPの吸い上げを実施してもらう。ケイトとマリはMPを5吸い上げる事ができた。ミャオだけが吸い上げるMPが4であったが、体が小さいので全身に必要なMPが少ない様だ。吸いあがるMPは少ないが、その分、身体強化に必要なMPも少ないので、そちらは省エネで羨ましい。MPを吸い上げられることが判ったので、そこまでMPが減少していなかったので、8層に向かう事にした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る