第41話 ゴーレムの攻略
7層の階段を降りると、木の洞から階層主エリアに出る。夕食を食べながら、ゴーレム攻略の話をする。
「ゴーレムを倒すポイントは、喉の下人間でいうところの左右の鎖骨の間だと思ったけど、後ろから見ててケイトとマリにはどう見えた?」
「大体その辺りに見えたよ」
「私も、その辺りだと思ったわ。」
「でも、そこを狙うのに邪魔になるのが、左右の腕の防御と顎?を引くだけで防御されるので、これを崩すのにパーティの攻撃力の多くを持っていかれた。MPを使わずに、これを何とかしたいんだけど、何かいい案無いかな?」
ゴーレムの弱点喉下を狙うのに有効な戦術が無いか、皆で考える。
「腕の方は、肘を狙って切れば何とかなるにゃ。」
「では、僕とミャオで腕を狙って、同時に喉下をケイトとマリで狙えば倒せると思うけど、MPの消費を減らすためにウォータニードルやシングルアローで顎防御を通せるかな?」
「僕のウォータニードルで攻撃したら、顎の防御に穴は開けられるけどニードルの太さの穴になる。そこシングルアローで射抜けるならいけると思うけど、マリはどう?」
「私のシングルアローも同じで穴を開けるのは可能で、元々同じ喉下の一点を狙っているんだから、穴を通せると思うがやってみないとって所かな?」
「では、明日の攻略はその方法でやってみよう。順次攻撃をすると、後ろ向きや抱え込みの姿勢になって防御体制を取られると厄介になる。僕とミャオの腕攻撃のタイミングを合わせるとの、腕攻撃の成否で直ぐに喉下攻撃に入って。後方攻撃のタイミングもできるだけ合わせて。」
次の日、朝から8層のゴーレムと対峙していた。右からミャオ、左から僕ツグトがゴーレムに取りつき、左右の腕を肘から切り飛ばす。そこを、すかさずケイトとマリが急所の喉下を攻撃する。
「ウォータニードル」
「シングルアロー」
ウォータニードルが、喉下を防御しようとして下げた顎に突き刺さる。ウォータニードルがあけた穴に寸分違わずマリのシングルアローが吸い込まれていき、喉下を穿つ。暫くすると、ゴーレムが光の粒子になって消えていった。ドロップした魔石を拾って前に進む。
2体目も同じような展開になったが、急所への攻撃は、シングルアローが先に顎に当たりウォータニードルが後になったが、ゴーレムを倒すのには問題無かった。
3体目は、ちょっと展開が変わった。急所への攻撃迄は同じ展開だったのだが、マリが攻撃を間違えてファイヤーアローを打ち込んだ。そして、ケイトとマリが打ち込んだ魔法が全く同時に着弾した。
「ズガーン!」
同時着弾したことで、ゴーレムの顎で爆発が発生した。顎どころか、ゴーレムの胸から上が吹き飛んだのだ。
「何が起きた?」
自分の攻撃で発生した現象に理解が追いつかないケイトが、疑問の声を出す。
「私の矢が爆発した?」
マリも何が起きたか、理解できない様だ。一番、近くで見ていた僕が、2人に説明する。
「ウォータニードルとファイヤーアローが、同時着弾した。そのことで、魔法が融合し複合魔法エクスプロージョンになったみたいだ。」
起きた事象と、事象から推測される現象の説明をした。
「・・・エクスプロージョンって、今の魔導士団では使えるものがいない。50年ほど前に、英雄と言われた魔導士団長が得意にしていた魔法だと聞いた事があるけど。」
「・・・私も、伝説の魔法だと思っていた。火と水の複合魔法だったとは。」
ケイトとマリが唖然としながら、呟く。
「まぁ、でも倒せたから問題ないし、狙って出るもんでもないでしょ。」
2人に声をかけて、現実に引き戻す。
その後、2体のゴーレムを倒すが、エクスプロージョンは出なかった。マリは、エクスプロージョンができないかと、攻撃をファイヤーアローに切り替え、ケイトと一緒にタイミングを合わせて攻撃するようにしている様だが、やはり、簡単には出ないようだ。
次に会敵したゴーレムで問題が発生した。ゴーレムが2体同時に出てきたのだ。コンビネーションを考えて、咄嗟に元のコンビでの組み分けで1体づつゴーレムを受け持つことにする。
「マリ、ミャオ、右のゴーレムをお願い。ケイト、僕の支援を頼む。」
指示を出しておいて、左のゴーレムに向かう。しかし、ゴーレムを一人で相手にすると、当然ながら左右の腕の攻撃に対応が必要になる。いつもの様に、攻撃を躱して流れた腕を斬りつけ様とすると、もう一方の腕が飛んできた。咄嗟に回避ができなかったので、左右の剣の腹を十字に構え、石のコブシを受け流そうとするが、タイミングが遅れて重い攻撃を受け止める形になる。正面から受け止めるが、強い力で体が浮き上がる。倒れるとまずいので、力を流す為に後ろに下がる。しかし、下がっただけでは、勢いが殺せずにそのまま2,3m飛ばされる。飛ばされながらミャオの方を見ると、うまく避けているが、やはり攻撃には移れていない様だった。
飛ばされた所から再度ゴーレムに向かって行き、今度は、避けることを重点にして隙を伺う。しかし、避けているだけでは、反撃の糸口が掴めない。もう一度、剣をクロスさせてコブシの受け流しに挑戦する。今度は、体が流されないように体を前に倒して、45度の杭になったような気持ちでコブシを受ける。
「ガシッ」
一旦、剣でコブシを止め徐々に左に流す。こう言うと、ゆっくり受けている様だがこの間は一瞬の出来事だ。左にコブシを流すと、ゴーレムの体制が崩れる。
「ウォーターカッター」
体制が崩れたゴーレムにケイトが攻撃を飛ばす。ウォーターカッターがゴーレムの首にあたり、ゴーレムの首がズレて落ちていく。ゴーレムは落ちた頭を両手で抱えて、再度、首に付けようと持ち上げる。その隙にゴーレムの左横に回り込み、頭を抱えた左腕の肘を切り飛ばす。
「ゴン」
せっかく抱えた頭を左の腕ごと落としてしまう。
「ウォーターニードル」
防御が無くなった首元に、ケイトの攻撃が突き刺さり、これが止めとなった。
マリとミャオの方に目を移すと、マリが攻撃を出したところだった。
「ファイヤーアロー」
ミャオが両腕の攻撃を避けて凌いでいる所で、体制を崩す為にファイヤーアローを打ち込んだ様だ。ファイヤーアローは、ゴーレムの顔にあたり、一瞬、顔が火に包まれる。これを嫌がって、右のコブシを顔に持って行った所をミャオが右の肘を切り飛ばした。
「カカ、カカカ、ザシュ」
落ちてきた右腕を避けて、ミャオが後ろに飛ぶ。
「ウォーターニードル」
左の防御が無くなった所に、ケイトが喉元を攻撃する。これを嫌ったゴーレムは顎を引いて防御するが、その顎にウォータニードルが穴を開ける。
「シングルアロー」
その穴を目がけてマリが攻撃をする。その攻撃を防御しようと残った左腕を喉元に持っていく。その左の肘を僕の剣が切り裂く。マリの攻撃が喉元に吸い込まれていき、ゴーレムに止めを刺した。
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