第40話 8層 ゴーレム

 8層は、洞窟になっていた。但し、4層の蝙蝠型魔物キーキーが居た洞窟と比べると天井の高さは同じくらいだが横幅は倍以上10mぐらいある。この層には2mぐらいのゴーレムが出るとのことなので、ゴーレムが動ける広さになっているようだ。マリが隊列の組み方を聞いてきた。

「ここのゴーレムは大きくて、とにかく力が強いって事だけど、さっきの縦一列で進むの?」

「ここの洞窟は、横幅もある事だし前に僕とミャオが前で、5mほど離れてマリとケイトが横に並んで進むでどうかな?」

「それでいいよ。」

 ケイトが返事すると、皆も頷いて同意してくれたのでその配置で進む。


 しばらく進むと一体のゴーレムが現れた。岩を積み上げて作られたような形で、岩同士がどうやって繋がっているのかは不明だ。

「ミャオ、スケルトンジェネラルの時の様に、左右に分かれて攻めよう。」

 後方支援の攻撃が通る道を空けて、左右から攻める。

「ガシュ、ガシュ」

「カ、カ、ズン」

 左右の足にミャオと同時に切りつける。

「ウォーターカッター」

「ファイヤーアロー」

 ケイトとマリも、直ぐに火力の大きい攻撃を仕掛ける。

「ガシッ」

「ガッ、ボウッ」

 ウォーターカッターは、ゴーレムの額に当たり2つに割っていく、ファイヤーアローは胸に当たり胸の石を削り火を噴き、石が火の燃え上がりと同時に削れる。僕とミャオの攻撃も石を割って、ダメージを与えていく。ゴーレムの硬度は、ゴッグと同じくらいなので、剣や魔法が通る。


「ミャオ、関節を狙えるか?」

「やってみるにゃ」

 ミャオに指示を出して、膝関節に攻撃を変える。

「ガッ、ガシッ」

「ガッ、カカガシッ」

 攻撃を膝に変えた所で、ゴーレムは腕を振って攻撃をして来た。

「ブンッ、ブンッ」

 攻撃を避ける為に、バックステップで躱す。左右の腕を振って加えられた攻撃にミャオも、後ろに飛び下がって躱す。しかし、腕の攻撃の前に切った膝への攻撃で足を切断されたゴーレムが倒れていく。

「ズ、ダダン」

 膝から下が切り離され、ゴーレムは後ろ向きに倒れた。

「ブワッ」

 倒れた余波で、風が起こり砂や小石が飛ばされてくる。たまらず、腕を十字にして顔をかばい後ろへ飛び下がる。


 風がやむと、ゴーレムの切られた膝から光の紐が出て、切られた足の石に絡み膝の方へ引きずっていくのが見えた。

「ズ、ズ、ズーガシン」

 引きずられた足が膝に引っ付き、再度、ゴーレムが立ち上がってくる。立ち上がったゴーレムは、割られたハズの頭や抉られた胸も元に戻っており修復を終えていた。立ち上がったゴーレムにミャオが再度突っ込んでいく。ゴーレムは腕を振ってミャオに攻撃を加える。

「ガシッ」

 十字にクロスさせた剣で拳の石を受け止めるが、体重の軽いミャオを後ろに飛ばされる。

「ウォターニードルカルテット」

「カルテットアロー」

「飛べ、斬撃」

 ケイトとマリは、牽制の為に手数の多い攻撃をしかける。僕も、短めの斬撃を飛ばして様子を見る。

「ガッ、ガッ、ガッ、ガッ」

「カッ、カッ、カッ、カッ」

「ズンッ」

 ゴーレムの左右の胸にウォータニードルが、腹に魔力の矢が突き刺さる。飛ばした斬撃は額に刺さり、穴を穿つ。


「グォー」

 どこから発声しているのかわからないが、ゴーレムが叫ぶと再度光の紐が出て空いた穴を塞いでいく。魔力の流れに目を凝らすと大元は喉のあたりから出ているのがわかった。

「皆、喉元に魔力の源があるみたいだ。喉を集中攻撃しよう。」

 皆に、攻撃の指示をすると、即座に攻撃に移る。

「ウォーターカッター」

「ファイヤーアロー」

「飛べ、斬撃」

「クロスカッターにゃ」

 後衛の攻撃に加え、僕は大きめの斬撃を飛ばす。ミャオもシミラーからクロスの斬撃を飛ばす。

 ゴーレムは攻撃を防ごうと左右の腕をクロスさせ、喉を保護する。

「スパン」

「ガッ、ドゴン」

 左右のコブシがウォーターカッターと、ファイヤアローによって吹き飛ばされる。

「ズン」

「ズ、ズバッ」

 そこに、僕とミャオの斬撃が飛び込み、喉のあたりに突き刺さる。首を飛ばされ頭が落ちる。切られた首の根本が光って光の紐を出そうとしているのが見えた。又、修復されると厄介なので、再度、斬撃を飛ばす。先ほど、右の斬撃を飛ばしたばかりなので、右からは直ぐには出せないので咄嗟に左から飛ばした。

「ズン」

 喉の下に刺さると、光っていた喉元の光が消えて、ゆっくりとゴーレムが倒れて行った。

「ズズン」


 倒れたゴーレムは光の粒子になって消えていく。後には魔石と、コブシ大の鉄鉱石が残されていた。

「ふぅ、やっと倒れた。」

「再生されるのがやっかいね。随分手間取ったわ。ミャオ、攻撃受けたけど怪我は?」

「飛ばされただけ、大丈夫にゃ。」

「ツグト、それは?」

「鉄鉱石がドロップしたみたい。」

 鉄鉱石は、この階層に鉱脈があり採掘ができるのだが、半分ぐらいの確立でゴーレムからもドロップする。鉄鉱石を専門に採掘するパーティもあるとの事だ。魔石と鉄鉱石を拾って、次へと進む。


 次のゴーレムは1体目よりは楽に倒せたが、喉の防御を突破するのに結構な量の攻撃を畳み込む必要があり、MPの消費は馬鹿にならなかった。鉄鉱石のドロップも無かったので、初めての8層は魔石が2個と鉄鉱石が1個と言う結果に終わった。


「日暮れも近づいてきたので、7層に戻ろう。」

 皆も、MPの減りが気になっていたようで、反対はなかった。日暮れを待って7層に戻る。

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