第35話 スケルトンジェネラル再戦

 下の階層に辿り付いた時には、日が暮れていた。野営の準備をして、手早く食事を作る。食事をしながらケイトと話をする。

「ツグト、体の方はどうだ。」

「ケイトが帰りの討伐をしてくれたので、魔力も少し戻ってきたし、もう大丈夫だよ。」

「スケルトンジェネラルだけど、闘った感触は?倒せそうにないか?」

「いままで闘った魔物で、身体能力で負けていると感じたのは沢山いたけど、技能で負けたと思ったのは初めてだ。ちょっと、今の僕では倒せない。」

「そうか、更に上層へ行くのは難しそうだな。」

「いや、一人では倒せないと言うだけで、パーティで闘えば突破できるよ。」

「でも、ウォーターニードルカルテットも通用しなかったよ。」

「単独で闘えば、通用しない。でも、パーティは1対1で闘うわけじゃない。狙うのは飽和攻撃だ。厄介なのは、あの2本の剣だけど、例えば、1本を僕が受け持っていなす。もう1本をミャオに担当してもらう。この攻撃を左右からかけて真ん中の射線を空ける事ができたら。。」

「なるほど、そこへ僕の攻撃とマリの攻撃を通したら。。確かに倒せそうだ。」

「でも、剣の技で負けるってのは、悔しいよ。おかげで、自己治癒が使えるようになったけどね。」

「確かに、毎回ポーションを使っていたら、魔石の儲けがポーション代で飛んで行ってしまいそうだ。」

「冒険者が稼いだ金を飲み代につぎ込む気持ちが少しわかったよ。ポーションを使わずに無事に帰ってきたら、ポーションに費やしたかも知れない分を飲んでしまいたくなるよね。」

「ハハハ、確かに」


 スケルトンジェネラルから撤退して暗かった雰囲気が、笑いが出るとこまで良くなってきた。


「明日は、射線を空けて横から攻めるので、撃てる時には攻撃を入れてみて。」

「わかった。ウォーターニードルカルテットで、削れるかやってみる。しかし、カルテットを2本の剣で捌かれた時には、どうすんのこれって感じだったけど、確かに一人で闘う必要は無いよね。」

「うん、明日はブルースカイのパーティで挑もう。」



 次の日、再びスケルトンジェネラルと対峙した。

「ケイト、チャンスがあればいつでも撃って。射線には入らない様にするから。」

 そう言って、右からスケルトンジェネラルに近づく。スケルトンジェネラルに切りかかるが、受け流されて体制を崩さないように剣があたる直後ぐらいに剣を止めて引く。スケルトンジェネラルからの攻撃は、盾で止める。盾で止めるときにスケルトンジェネラルの様に受け流しできる様に合わせに行くが、一朝一夕でできる様な技ではない。しかし、盗める技術は盗む。盾で剣を受け止めたタイミングで、ケイトが攻撃を加える。

「ウォーターニードルカルテット!」

 スケルトンジェネラルは剣を引いて2本のウォータニードルを右手の剣で弾き、もう2本は体を斜めにして躱す。その斜めになった体に剣を水平に叩き付ける。その剣をスケルトンジェネラルは左の剣で受け止める。しかし、いつもの受け流しではなく剣と剣がぶつかる。

「ガシィ」

 さすがに、受け流す余裕が無かったようだ。そこに、ケイトが追撃を加える。

「ウォーターニードルカルテット!」

 剣を受け止めて動きが止まった状態での攻撃なので、咄嗟に躱せない。それでも右手1本で2本のウォータニードルを弾く。1本は骨の間を抜けるが1本が左の鎖骨にあたる。

「ガン」

 折る所まではいかなかったが、骨が削れる。初めて、スケルトンジェネラルに攻撃が通った瞬間だった。外のスケルトンよりも、骨の強度も高いようだ。スケルトンジェネラルはたまらず大きく後ろに飛び、間を空ける。それを追いかけ、射線を空けるように右横から攻撃を継続する。

「ウォーターニードルカルテット!」

 今度は、ケイトの攻撃に対応するために、ウォターニードルに2本の剣で対処をする。その隙に、攻撃を仕掛ける。

「カカンッ」「ガン」

 スケルトンジェネラルがウォターニードルを弾いた瞬間に入れた剣の攻撃が左腕あたる。骨を切断する所まではいかなかったが、1/3ぐらいは、剣が入った。

「ギギッ」

 スケルトンジェネラルの頭がこちらを向く。スケルトンなので、しゃべることは出来ないが、歯ぎしりで音を発する事は出来る様だ。再度、攻撃を再開する。ケイトとの連携で少しづつではあるが、攻撃が通るようになり、少しづつであるが削れるようになった。


「ツグト、攻撃はあたっている。焦らず、少しづつ削ろう。」

 ケイトから、焦って攻撃をしないように指示が来た。

「わかっている。少しづつでも削って倒し切ろう。」

 返事をしながらも、攻撃の手は止めない。それから30分ぐらい攻撃をし続けて、傷を入れた左腕の骨を切断した事で、剣が1本になり更に攻撃があたるようになって、胸のプレートにケイトの攻撃があたった。

「ウォーターアロー」

 プレートが外れてスケルトンジェネラルの動きが止まる。落ちたプレートを足で踏みつける。

「ボシュ」

 スケルトンジェネラルが光の粒子になって消えていく。魔石と一振りの剣がドロップしていた。


「この剣は、やっぱりそうだ。ミスリルコーティングされた剣だ。」

 剣を拾い上げ魔力を流し込んでみると、ヨーグ武具店で試させてもらったミスリルコーティングの剣と同じ様な感じで魔力が流れていく。

「ケイト、この剣使わせてくれないか?ヨーグ武具店では、100,000ゴルの値段が付いていた。売るとなると値段が下がるだろうから80,000ゴルの半額40,000ゴルを払うので売ってくれ。」

「ツグトが使いたいのならお金は良いよ。」

「いや、そういう訳にはいかない。お金は払わせてくれ。」

「わかったから、ちょっと落ち着け。80,000ゴルは高く売れた時だと思うので、60,000ゴルの半額の30,000ゴルでどうだ。」

「ありがとう。それでは、30,000ゴルでお願いします。」


 それから、部屋の奥についている階段を昇り2階に一つだけ付いている7層のドアを開いた。そこには、鬱蒼とした森が広がっていた。

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