第25話 4層 蝙蝠型魔物キーキー

 次の日、朝6:00にギルドへ行く。ケイトと合流して、受付でパーティの登録手続きをする。2人の名前を書いて、パーティ名を記入するところでケイトと顔を見合わせる。

「ケイト、パーティ名どうする?付けたい名前とかある?」

「いや、何も考えていない。」

「・・・えーと、僕の瞳はダークブルーでケイトの瞳はスカイブルー。ブルー同士で、今日は雲ひとつない快晴だから、ブルースカイってどうかな?」

「あぁ、いいよ、それで。」

「安直だけど、じゃ、それで。」

 パーティを登録して、ダンジョンに向かう。1層は、遭遇する度に交代で対応することにする。但し、ゴブリンナイトはケイトとの相性が悪いため、ケイトが1発入れてから、ツグトが倒すことにした。2層は遠くにいるマッドドッグはケイトが倒し、一定の距離を切ったものはツグトが倒すことにした。その連携で群れも対応する。

「2人で倒すと早いし、楽だね。」

「ケイト、魔力は大丈夫か?」

「さっき、レベルアップしたから、大丈夫。」

「ゴッグは、どうする?1撃で倒せるようになった?そういや、ビッグゴッグも倒したんだって?」

「ゴッグは、何とか1撃で、ビッグゴッグは3発入れたら真ん中に届いた。」

「じゃぁ、ゴッグは交代で、ビッグゴッグは剣を入れた所にウォーターカッターを一発当てて貰ったら倒せると思うので、その順番でいこう。」

 ゴッグを3匹倒したところで、階層主の所にたどり着く。1.3mに伸ばした剣で切りつけた所にウォーターカッターを合わせて貰うと、簡単に倒せた。

「ビッグゴッグが動きだす前に倒せると、こんなに楽なんだね。」

 ケイトが感心したように呟いた。


 4層に昇る。ここで、ダンジョンに入ってから3時間という所だ。一人でやってたら昼になっていたと思う。ここも洞窟型だが、やっかいなのは高さが3mぐらいあり、蝙蝠型のキーキーが天井付近を飛んでいるという事だ。140cmのツグトが1.3mに伸ばした剣で切りつけると少し足りないので、ジャンプして切りつける。しかし、器用な飛び方をするキーキーは近づいた剣を認識してサッとよけてしまう。ケイトのウォーターカッターも同じようにひらりと躱してしまう。こちらの攻撃をあざ笑うかのように、超音波カッターを撃ってくる。これも見えないカッターなので厄介なのだが、空気を切り裂いて飛んでくるので空気の揺らぎを見て剣で弾く。目を凝らして見ないと、縦に飛んでくるのか横に飛んでくるのかを見誤る。横か縦かと考えていたら、ひとつ攻撃法を思いつく。

「ケイト、ウォータカッターを横に打ち出してくれないか?それに縦の斬撃を合わせたら、キーキーも避けられないだろう。」

「わかった、やってみるから合わせて。」

 そして、ケイトのウォーターカッターに合わせて、ジャンプして剣を振りぬく。

「バサッ、バサッ、キーキー」

 剣が少し遅れた。水平に放たれたウォーターカッターを下に躱して少し遅れた縦の斬撃を横に躱されてしまった。

「ゴメン、剣が遅れた。」

「タイミング難しいな。でももう一度。」

 2度目は剣が早かった。3度目にピタリと合わさった攻撃を、斜めに躱そうとしたが躱しきれずに攻撃があたった。

「やっと、あたった。」

「でも、1匹にウォーターカッターを3発はきついな。」

 MPを心配して、ケイトが言った。

「・・・ケイト、エリア攻撃できるような魔法は無いの?」

「MPを大量に消費する技は有るけど、今の僕には使えない。1発練習するのにもMPが足りてない。」

「逆に、MPが少ない技ってのは?」

「MP1でウォータービーンズって技があるけど、豆粒の大きさの水を飛ばすんだ。」

「それを2粒飛ばして、その間を剣で振りぬくってのはどうだろう。」

「2粒同時に飛ばした事は無いから、やってみないとわからん。」

「じゃあ、やってみよう。」


 暫く歩くと、1匹で飛んでいるキーキーに出くわしたので、これを狙う。

「ウォータービーンズ」

 両手から一つづつ水粒が飛ばされる。その間を狙って剣を振りぬく。左に避けたキーキーの羽に魔法が掠る。

「おしい」

 おもわず、叫んだ所に怒ったキーキーが超音波カッターの攻撃をかけてきた。飛んできたカッターを剣で弾く。

「キン」

 うまく弾けた。飛んでくる方向はわかるが、そのカッターの向きまで咄嗟に判断しないといけないので、弾くまでは気が抜けない。

「ツグト、もう一回だ。ウォータービーンズ」

 再度、攻撃をかける今度は、斜めに回避しよとしてウォータービーンズと剣の両方に引っ掛かる。

「やっと倒せた。ケイト、ウォータービーンズを片手で撃って、キーキーの手前で2つに分けるって難しいか?」

「やった事ないな。最初から2つに分かれるイメージで打ち出せば、分けるのはできると思うけど。」

「ちょっと、やってみる」

 近くの岩に向かって撃ちだしたところ、撃ってすぐの所で分かれて1mぐらい離れて着弾した。

「ちょっと離れ過ぎだね。キーキーの所で50cmぐらいで無いと、それと上下にもう2発分けて合計4発にできたら、単独で攻撃できると思うんだけど。」

「4つに分けたら威力が小さくなり過ぎて、キーキーに効かないと思う。両手で4発にして撃ちだすならいけるかな。どっちにしても、練習しないと無理だな。」


 その後練習しながら、2匹倒したたところで、ケイトのMPが半分を切ったのでその日は終了した。

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