第24話 D級昇級のお祝い
ギルドに戻って、試験の報告をしてギルドカードを提出すると、D級の文字が刻まれたプレートが帰ってきた。
<ツグト>D級
レベル:27
HP:47
MP:76
魔石の清算が終わると、ギルマスのエリウスが呼んでいるとの事なので、ギルマスの部屋に行く。
「ツグト、まぁ座ってくれ。」
ギルマスの部屋にある応接セットに座らされる。暫くすると奥さんのライラさんが、お茶を持って来てくれた。お茶を置いて出ていくのかと思ったら、エリウスの横に座って、ニコリと笑う。エリウスが口を開いた。
「D級昇格おめでとう。これで、シエルの街に来た目的は果たしたと思うが、これからどうするのか決めているのか?」
「ありがとうございます。ダンジョンに入るのが面白くなってきたので、暫く冒険者を続けたいと思います。」
「そうか、・・・そこで、提案なんだが、試験が終わるまでの間、臨時職員をするとの事だったのだが、続けるつもりは無いか?」
「いえ、ダンジョンに入る時間が無くなるので、それにパーティを組もうと思っている相手もいるので職員を続けるのは、ちょっと。」
「いや、ずっと拘束するともりは無いんだ。実は、このギルドでまともに計算できる職員が少なくてな。月に1度の魔石の実績計算の時だけでいいんだ。助けてくれないか?」
「私からも、お願いするわ。月に一日か二日、計算の時だけ助けてくれたら、ギルド職員宿舎をそのまま使ってもらっていいのよ。」
宿屋に部屋を取ると、最低でも一日300ゴルはかかる。一か月4週なので単純に8,400ゴルが浮く計算だ。これは大きい。思わず、口に出ていた。
「よろしく、お願いします。」
ケイトには、後で説明しておこう。
「そうか、やってくれるか。計算のできるものは貴重なんだ。一安心だよ。そうそう、この後ギルドのメンバーで、昇級祝いをやるから、後で食堂に集合な。」
そう言ってエリウスがにっこり笑って、胸をなでおろす。
「じゃ、後でね。」
「いや、ライラさんは受付の仕事があるんじゃ?」
「ピーク過ぎたら暇になるから顔は出すわよ。ギルドの食堂に居れば、誰か入ってきたらわかるしね。」
そう言って、ライラさんは仕事に戻って行った。
宿舎に戻り、防具や剣を置いて身体を拭いてからギルドの食堂に向かう。
「「「「「昇級おめでとう!乾杯」」」」」
シンタさん、ミエラさんもギルドに戻ってきてくれていた。お祝いの言葉で宴会が始まる。ツグトは果実ジュースで乾杯した。奥で宴会していた<虹の精鋭>のメンバーが隣の席に引っ越してきてお祝いを言ってくれる。
「シエルギルドの数少ないDランク冒険者の誕生に乾杯だ。Cランクはうちのパーティに俺を含めて2名しかいない。Dランクパーティは3つあるが、Dランクの冒険者はうちのメンバーを合わせても9名だった。ツグトで10人目のDランク冒険者だ。」
酔った<虹の精鋭>のリーダー、スバルさんが、ツグトの肩を叩きながら嬉しそうに言う。
「そういや、サーはもうすぐCランクに上がれそうなんだろ。」
<虹の精鋭>のサブリーダー、ドルフさんがサーさんを見ながら聞いてきた。
「そうよ、ツグト君の昇級試験の試験官をやらせてもらったおかげで、レベルアップできたので、後はギルドが実績を認定してくれたら上がれるわ。ね、ギルマスさん。」
「あ、ごほん。勿論、今慎重に査定してる最中だ。ここでは、これ以上言う事は無いぞ!」
ギルマスのエリウスが言葉を選びながら、返事をした。
「今日はお祝いの席なので、硬い事は抜きで飲みましょう。」
ライラさんが、横からサポートする。
「うー、お酒が入ったら口も軽くなるかと思ったけど無理ね。そうそう、ツグト君はソロでダンジョンに入っているのよね。」
「はい、ソロですけど、お試しで暫くケイトと一緒に活動します。」
「ケイトって、今日3層で見たけどビッグゴッグを倒していたぞ。5層で魔晶石集めをしていたんだけど、3層に降りるときにビッグゴッグと闘ってたよ。あいつも、もうすぐD級になるんじゃないか?」
「ゴッグ倒すのに苦労していたのに、何か掴んだみたいですね。」
ケイトと仮パーティを組んだ事を言ったら、ドルフさんが、教えてくれた。すると、ライラさんがこちらを向いて口を開く。
「一緒に活動するのなら、仮でもパーティ登録しなさいよね。パーティ組んでおくと色々と便宜が計れるから明日、ダンジョンに行くのなら、その前に出していって。パーティでないと受けられない依頼もあるし、D級のツグト君に合わせてパーティもD級として認定されるから、2人でD級の依頼を受託できるわよ。」
「わかりました。明日、登録します。」
お祝いは1時間ほどで終了し、解散となった。
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