第16話 ギルドの講習会

 月曜日、9:00にギルドの講習室へ向かう。講習会の講師はギルマスのエリウスだった。

「講師は俺だ。講師を別に雇うほど大きなギルドではないので諦めてくれ」

 そう言って、ニヤリと笑う。講習会の費用は100ゴル。初心者向けなので、費用を抑えてくれている様だ。講習会は午前で終わる。試験は500ゴルで1日かかる。講習を受けるのは、自分ともう一人居た。

「こんにちは、ツグトです。剣を使います。12才です。」

「僕は、ケイト魔法師です。12才なので同い年ですね。ソロでダンジョンに登っています。」

 ケイトは12才で冒険者になり、このギルドで半年ほどダンジョンに潜りながら先日、1階層を制覇してEランクになったとの事だった。

 講習会は、近隣の森での薬草採取の方法、魔物への対処の仕方、ダンジョンの構造についての講義だった。魔物の対処では、無理と思ったら如何に逃げるかを繰り返し言われた。

「上級魔物に出会ったら、魔物除けの香り玉を使って逃げる。それでも追いかけてきたらマキビシを巻いて追って来れなくするなど、日頃から装備が大事になる。この装備は絶対にケチるな。ダンジョンでは、下の階層に逃げ込めば魔物は追いかけて来ない。間違えても他の冒険者への魔物の押し付けはするな。逃げ先に冒険者が居たら、協力して倒すか一緒に逃げるかの2択だ。押し付けが発覚したらギルド員資格の剥奪になる。」

 こういった内容で、ダンジョンの構造については、Eランクと言う事で5層までの階層の説明だった。

  1層:ゴブリン・・・ボスはゴブリンナイト

     低級HP回復用の薬草が取れる

  2層:マッドドッグ・・・早い、群れる。ボスは群れ(5~10匹)

     怪我回復薬の薬草が取れる

  3層:岩石型魔物:ゴッグ・・・とにかく硬い。ボスはビッグゴッグ

     鉄鉱石が取れる

  4層:蝙蝠型魔物:キーキー・・・超音波カッターを飛ばす。ボスは、30匹の群れ

     低級MP回復薬の薬草が取れる

  5層:大口ワーム:メガワーム・・・外皮が固い、力が強い。ボスはツインメガワーム(頭が2つ)

     魔晶石が取れる

「各層には、各層でしか取れない薬草や鉄鉱石などの素材が取れる場所がある。大体は開けた場所が多いが、警戒を怠ると魔物に取り囲まれる可能性もあるので注意が必要だ。魔物が来たらすぐ倒す。倒す前に次の魔物が現れたら、通路に引き返して一体ずつ倒す。開けた場所で時間をかけるのが最悪だ。囲まれそうになったら、兎に角通路に逃げて、少ない魔物を相手取るようにしろ。平原の様な場所の場合でも、木や岩など障害物のあるところまで走れ、障害を盾にしながら1匹づつ対処する。それと、ケイトは知っているが、ダンジョンの魔物は倒したら消える。ダンジョンに吸収されると言われている。但し、魔石を残すのと稀にドロップ品と言われるものを残す。」     

 魔物の攻略方法は、使う武器によって変わるので、魔物の特徴だけ教えて貰った。ダンジョンの各層の最後にはボスが居て、これを倒さないと上に登れないとの事だった。帰りは、何故かボスが出現しないとの事で、ボス戦をやっていたら終わるまで待たないと帰れないそうだ。


 講習会が終わって、昼ご飯をギルドの食堂で食べ、午後にギルマスのエリウスが剣の使い方を見てくれると言うので、ギルドの演習場へに行った。

「お前の父のゴウが仕込んでいるので大丈夫とは思うが、ここのギルドでダンジョンに入るのなら技量を見ておきたい。木剣で少し打ち合いをやろう。」

 そう言って、木剣を渡された。エリウスは元Bランクの冒険者だ。ランクの差があり過ぎて身体能力では敵わない。父との打ち合いを思い出し、間合いを詰めながら軽く打ち込んでみる。

「カン」、「カン」

 袈裟掛けの切りつけを跳ね返され、剣をすぐに横薙ぎに変えて切りつけるが、これも軽く返される。

「身体強化使っていいぞ。」

 そう言われたので、体全体に魔力を循環させる。右に回り込みながら右から切りつける。上がった剣速で切りつけるが後ろに下がって躱される。更に踏み込みながら左から切り上げ気味に切りつける。

「ガッ」

 剣で受け止められて更に、右から回し蹴りが飛んでくる。これをバックステップで一旦躱して、回し蹴りで流れた体の背中に向けて再度踏み込み剣を横薙ぐ。躱したところを追撃しようと考えていたら右手に持った剣を左に持ち替え体を振り向きざまに防がれた。剣を跳ね返されたところで、後ろに飛び下がり距離をあける。再度向き合ったところで声を掛けられた。

「身体強化も無駄なく魔力を循環できていて、攻撃のセンスも良い。大体わかったので、もういいぞ。後、剣に魔力を流し込めるなら、そっちを見せてくれ。」

 打ち合いが終わり、壁においていた昨日買った剣を持ってくる。剣を抜いて構える。

「良い剣だな。初心者にはもったいないぐらいだ。」

「前使っていた剣が合わなくなって、昨日買ったばかりの物です。」

 そう言いながら、剣を構えて魔力を流す。やはり、前の剣よりも魔力が流し易い。

「剣にも魔力循環ができるのか!それって、Cランク以上が使う技だぞ。・・・う~ん、もう良いわ。教える事無いし。空いた日には、ダンジョンに入っていいぞ」


 そう言われて、剣の練習も終了した。

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