第14話 シエル街

 シエルの街は外壁に囲まれてはいるが、所々木の塀になっている所も見受けられた。岩や土の壁にしたいのだが、費用が嵩むため手が回らないとの事だった。それでも壁の内側には土嚢が積まれており魔物が来ても簡単には突破できない工夫がされているとの事だった。正門に着くと門番の人がいたが、特に審査などは無く、すんなり通してくれた。魔物の群れが襲って来た時などに、門を閉めて応戦する為に詰めているとの事で、街への出入りは自由との事だ。

 馬車に乗ったまま、街へ入る。冒険者ギルドへ着く少し手前に一度止まって、ここがヤールさんの店だと教えくれた。

「月に一回、カール村に取り引きに行くが、多少前後はするので行くときには早めに言ってくれ」

 ヤールさんは、村へ行くときには乗せて行ってくれると言ってくれた。

 そこから更に街の中心へ走っていき、冒険者ギルドへ到着する。父さんから預かった魔石や報告書やらを届ける仕事もあるとの事で、冒険者ギルドまで来てくれた。ヤールさんと一緒に冒険者ギルドへ入る。ギルド間の取り引きになるので、受付けで挨拶するとギルドマスターの部屋へ通される。ツグトも父から紹介状を書いて貰っていたので、一緒にギルマスの部屋に通された。

「俺が、ギルマスのエリウスだ。ゴウの所のツグトだな。ゴウとは、王都の本部で同僚だったんだ。12年前、赤ん坊の時に合っているが、覚えてないわな。しかし大きくなったな。」

 そう言って、紹介状に目を通す。

「講習会と昇級試験だな。ヤールさんの方を先に片付けるから少し待っていてくれ。」

 そう言って、ヤールさんの持ってきた魔石を確認して、報告書に目を通す。受取印を押して、ヤールさんへ返す。

「ヤールさん、ご苦労様でした。いつもありがとうございます。」

「こちらも、仕事なので礼はいいですよ。手数料も貰っていますから。」

 そう言って、ヤールさんは部屋を出て行った。

「さて、報告書を読ませてもらったが、ゴブリンの巣を一人でって。・・・よく生きてたな。とりあえず、ギルドカードの更新だが、その前にレベル測定をさせてもらうぞ。」

 そう言って、ギルド事務所から人を呼んだ。

「シンタ、こっちはツグトだ。すまんがレベル測定をして、結果が出たらもう一度こちらに来てくれ。ツグト、ギルド事務員のシンタだ。こいつに付いて行って、レベル検査してもらってくれ。」

「シンタさん、よろしくお願いします。」

「あぁ、こちらこそよろしく」


 ギルマスの部屋を出て、ギルドの事務所に連れていかれた。会議机の前に座らされ、物置からレベル測定用の魔道具を出して来て会議机に置く。結構、大きな機械で機械のてっぺんに水晶玉の上半分が出ていた。

「この水晶に手を置いてくれ。」

 言われるままに水晶に手をかざすと、シンタさんがスイッチを押す。暫く、すると水晶の上にステータスが表示された。

  レベル:19 次のレベルまで7.5

  HP:32

  MP:51

 シンタさんが、表示内容を紙に書き写してスイッチを切る。測定用の魔道具を片付けて、ツグトに向かって言う。

「ギルドカードの更新する前にレベル測定って言うから何でかと思っていたら、君あと低級魔物8匹も倒せばDランクになるんだね。Eランクカードを今さら作ってもって感じだね。じゃぁ、ギルマスの所へ行こうか。」

 再度、ギルマスの部屋に戻る。シンタさんが、ギルマスに測定結果の紙を渡して、部屋を出て行った。

「でだ、Eランクの確認テストはダンジョンの1階層単独制覇だ。このステータスでは1階層制覇の途中でDランクに上がってしまうので、Eランクカードの作成はヤメだ。Eランクテストを受けたら、仮のDランクカードを発行するので続けてDランクテストを受けろ。Dランクは3階層の単独制覇だ。それに両方の講習会を受けてたら、1ヵ月はかかる。紹介状には、宿の紹介って書いてあったが、ツグト、お前臨時のギルド職員やらないか?ギルド職員になれば、ギルドの職員用宿舎が使える。今は、シンタと受付嬢のミエラが入っている。3部屋空いているから、1部屋使っていいぞ。昼と夜の食事はギルドの食堂を使って、朝は屋台が冒険者用に早くから空いているから、問題無いな。」

「宿代も高いので、そうして貰えると助かります。」

「講習会は、来週の月曜日にある。今日は土曜日なので神の日は休みにして火曜日から働いてくれ。昇級試験は次の月曜日になるので、毎週、月曜日はそちらに当ててくれ。」

 この世界の曜日は7曜で月、火、水、木、風、土、神 となっている。冒険者ギルドに休みは無いが、神曜日(通称:神の日)は、神に祈りを捧げる日として休みにしている所が多い。食堂や商店などは、その限りではないが、冒険者でも神曜日は休む人が多いので休みにして貰った。

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