第36話
幼馴染君と旅行前に、デートもした。
けれども、武器は使うことができなかった。
でも、手は繋げたし幼馴染君が可愛いと思う服も買えた。
部屋に遊びに行くこともあったけど、やはり女の子として意識してれている様子はない。
幼馴染君は私を幼馴染としか思っていなくて、それでも私はこの旅行で決めることにした。
結果がどうであれ、前みたいに有耶無耶にしないで。
旅行の前の日はあまり眠れなかった。
楽しみのもあったが、それ以上に緊張もあったからだ。
いつもより早く起きて、鏡でクマができてないか確認した。幸い、できていなく冷たい水で顔を洗った。
朝食も食べ終え、幼馴染君が来るのを待っていた。
「お、早いな」
すると、お母さんが起きてきた。
「おはよう」
お母さんは自分のコップにコーヒーを注ぎ、私に隣で私がスマホで見ているニュースをのぞき見る。
「寝れたか?」
「うん。ばっちり」
一瞬見透かされたように感じたが、何とか顔に出さずに答えることが出来た。
「そうか。じゃあ、なんで上下反対で動画見てるんだよ」
そう言われて、はっとした。
私は少しほほを染めて、お母さんの方を見て。
「わざとだし」
「そっか」
お母さんは笑いもせず、つぶやいた。
「いただきます」
お母さんは食パンを用意して食べ始めた。
スマホをただしい向きに戻して、動画を再生する。
自分で思っている以上に、私はこの旅行のことを意識していたみたいだ。
「そんなに楽しみか?」
お母さんが聞く。
「うん、初めて旅館に泊まるから」
「そっか」
お母さんは、しみじみ味わうように言葉を絞り出す。
「なら、翔子に感謝だな」
「うん」
なんだかんだ、お母さんが一番この旅行を心配している。
なぜなら、私が旅行中はずっと休みを取っている。
お母さんはいつまでも、私を子供扱いだ。
いつもすました顔して。
きっと、今回も私が何かしでかさないか心配してるに違いない。
「もうじき、来る時間だ」
私はバッグを玄関に起きそこで座って待つ。
「そんなとこで待つなよ」
お母さんが顔だけ出して、こちらを見る。
「早くいけるように」
スマホを握り、足を無意識的に踊らせてしまう。
しばらく待つと、ドアの前に人がたった気配がした。すると、すぐにインターホンがなり幼馴染君だと思いドアをすぐに開けた。
それに驚いたのか、幼馴染君が腰を抜かした。
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