第24話
大丈夫。
多分ニヤけてない。
私は自分にそう自己暗示をかけるように、心のなかで呟く。
幼馴染君家最終日、遂に私は、幼馴染に告白?された。
正直なんでこうなったかはわからないが、そんな疑問嬉しさが勝っている。
でも、パニックになった頭を落ち着かせるため今日は一旦この話は終わらせたほうがいいだろう。
私は一言言い残し、逃げるように自分の部屋に戻りベットに飛び込んだ。
「攻めて良かった~」
私は、天井を向きほっぺを揉む。
そうしてないと、ニヤけが止まりそうになかったから。
でも、まだ、好きと言ってもらった訳では無い。
幼馴染君は、そういった感情に疎い。いわゆる鈍感系男子。
勝手に彼女面なんて、ただのヤバい女だ。
ちゃんと理性的にでも、意識してもらえるように頑張らなければ。
どうやら幼馴染君は、押しに弱いらしい。これからは押して、押して、押しまくる作戦に出ます。
でも、その前にニヤケを止めなければ。
結局この日は眠れなかった。
興奮と高揚感で、胸がずっと鳴りっぱなしだ。
朝になり、服をサイドバックに押し込み制服に着替える。
まだ、幼馴染君と顔を合わせると思うと顔が熱くなる。
少なくとも、前よりは進展しているはずだ。もしかしたら、向こうも同じことを思っているかもしれない。
そう思うとやはりニヤケを止めることができない。
結局、私が部屋を出たのはいつもより30分ほどあとだった。
私は、顔を洗い軽くクマが隠れるぐらい化粧をしてリビングに行くと、まだ、幼馴染君はいなかった。
「おはようございます」
「あら、おはよ」
おばさんは、キッチンで皿を洗っていた。
「食パンでいいかしら?」
「あ、はい」
私は、椅子に座りパンを待つ傍ら幼馴染君も待つ。
「夕ちゃんなんか、嬉しそうね」
おばさんは食パンをパン焼きに入れながら、少し笑っていった。
「え?ああ、そうですかね」
そう指摘されると、恥ずかして顔が赤くなり、顔を揉む。
「そうだ、そろそろ起こしに行ったほうがいいですかね」
私は話をそらそうと、わざとらしく時計を見て言った。
もうじき、学校に行く時間になっていたのでちょうどよかった。
「ああ、あの子なら先に出たわよ。日直があるとかで」
おばさんはそう言って、焼き終わったパンにバターとはちみつをたっぷり塗って出してくれた。
「そうでしたか」
口ではそう言ったが、幼馴染はつい最近もやっていたはずだ。
おかしいと思いながらも、私はパンを齧った。
「おばさん、お世話になりました」
肩にボストンバッグを担ぎ、最後におばさんに礼を伝える。
「バック後で取りに来てもいいのよ」
重いボストンバッグを心配してか言ってくれたが、これぐらいへっちゃらだ。
「大丈夫です」
「そう?じゃあ、またいつでも来てね。いってらしゃい」
おばさんは微笑み手をふる。
私もそれに答えるように、照れながらも笑顔で。
「いってきます」
そう言った。
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