第9話
今から、長手の家に向かって着くのは5時を過ぎる頃。
もしかしたら、別の友達と遊びに行っていても家にいないかもしれない。
が、僕は行くしかなかった。
バス停の時間表も見ると、数分後に来るみたいだ。
待っている間、僕は長手に連絡を入れる。
今から家行っていい?
ごめん、今日が誕生日だったんだ。
一日勘違いしてた。
もちろん、既読はつかない。
単にスマホを見ていないだけならいいけど。
きっと、ものすごく怒ってるんだろう。
そうこうしているうちに、バスが来て乗り込んだ。
バスは、どれだけ焦っても速度は変わんない。
僕は、気が気じゃなかった。
バス停に着き、僕はすぐに降り走り出した。
長手の家までは走って10分ぐらいだ。
息も絶え絶えで、長手の家に着いた。
息を整え、インターホンを押すと長手のお父さんが出て、家に上げてくれた。
長手の部屋は、階段を上がって奥に行ったところだ。
玄関から見えるけど、カーテンがしてあり中の様子は分からなかった。
深呼吸をし、ノックした。
おじさんに、家にいることは聞いていたの部屋にいるはずだ。
「あ、長手」
返事はない。
が、続ける。
「ごめん。今日が誕生日だって、気づかなくて。僕って最低だな」
「ほんとに」
長手は、顔だけだし答えた。
「まあ、言い訳ぐらい聞いてやろう」
長手の目元は赤くなっている。
「スマホのカレンダーがバグってて」
僕は、スマホを見せた。
長手は、ジトッとした目でスマホを見つめた。
「本当に忘れてたわけじゃないんだろうな」
「当たり前だよ。約束だから」
長手は、一瞬ハッとした顔をしたがすぐに表情を戻す。
「覚えてたんだ」
そう言われ、恥ずかしくなったが僕は頷く。
「まあ、もう2回は約束破られてるけど」
唇を尖らせ言う。
「うっ。それは、ごめん」
お互い、距離があったとはいえそれは僕も気のなっていた。
だが、長手は笑って。
「いいよ。あのときは、きっとお互い悪かったんだと思う」
「う、うん」
思いの外、大人なことを言う長手に胸をなでおろす。
「あ、誕生日プレゼント。あるんだけど」
「え?本当に!」
と、手に持っている袋を渡そうとしたとき気づいた。
「あれ?ない」
確かに、買ったはずのプレゼントがなかった。
落としてきた?
もしそうなら、どこまで持っていた思考する。
「ねぇ?大丈夫?」
長手は心配そうに、こちらを見つめる。
確か、愛香ちゃんとお茶する前はあったはず。
で、勘違いしてたと気づいたとに・・・・・。
持ってない。
その時には持っていない。
というとこは、お茶したテーブルだ。
僕は、急いで愛香ちゃんに連絡しようとしたとき、すでに連絡が来ていた。
『忘れてるよ』
と、文言と写真を添えて。
とりあえず、無事一安心だ。
「ごめん、お店に忘れてきたみたい」
「あ~あ、そっか。そうだよね」
長手は、何かを思い出したかのように言った。
「今日のデートは楽しかった?」
「え?デート?」
長手は、俯きながら言う。
僕は全く、見に覚えがなかった。
「私見たんだ。君が、女の子といるとこ」
急に空気が変わった。
「女の子?」
少し思考し。
「あ!愛香ちゃん?」
「うっ。名前で」
長手はギロッとこちらを睨んだ。
「長手?愛香ちゃんはだたの」
「うるさい。愛香ちゃん愛香ちゃん。あーあそうですか。そんな彼女が好きですか。もういいよ」
「ねえ?聞いて」
長手は、まるで話を聞かない。
「もう帰って、勝手に愛しの愛香ちゃんのことにでも行けば。か、勝手に」
長手は、泣きだした。
「ばか、ばかぁぁぁー」
長手は、僕のお腹を叩く。
「え?え?だから、いとこなの。愛香ちゃんはいとこ」
「え?嘘だ」
「本当だって、第一愛香ちゃん彼氏いるし。今日も一緒だったし」
僕は今日撮った、写真を見せた。
「あ、あのときの女の子」
長手は手を止め、写真をまじまじと見ている。
「じゃあ、私の勘違い」
長手は、青ざめた顔で僕を見てくる。
「うん」
肯定すると長手は、ぷるぷると震えだし飛ぶように部屋に戻った。
「長手?」
扉越しに声をかけると長手は。
「帰って」
「え?なんで」
誤解は解けたと思ったが、長手は再び言う。
「今日は帰って、恥ずかしすぎて、死ぬ」
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