第3話

 「これ、長手のとこに持って行ってくれ」

 放課後、僕は担任から封筒を渡された。

 「なんで?僕?」

 別に高校で仲良くしていた覚えはないんだが、担任は僕を指名した。

 「なんでって?幼馴染なんだろう?まあ、詳しいことは気にするな。頼んだぞ」

 そう言うと、担任は教室を出て行った。

 あま、家はそんなに遠くないから、いいのだが今朝のことがあって気まずい。

 そんなことを考えながら、僕は長手の家に向かった。


 自分の家を少し通り過ぎたとこに長手の家はある。

 インターホンを押し、応対を待っていると。

 「は~い。誰ですか?」

 インターホンから、長手の声が聞こえた。

 「あ、手紙持ってきたんだけど」

 「え?え?なんで?」

 だいぶ焦った声がしたと思ったら。

 扉が少し開き、長手が顔を出した。

 ジットとした目で。

 「何しに来たの?」

 「これ先生から、長手渡せって」

 封筒を渡すと、手だけ出して受け取った。

 「別に今日じゃなくても良かったじゃない?小学校じゃないんだから」

 「それは、僕も思ったよ」

 僕は苦笑いをする。

 大した手間ではないから、別にいいのだが。

 長手はどこか面倒くさそうだった。

 「じゃあ、僕帰るから。明日は来なよ」

 と、だけ告げて帰ろうとしたとき。

 「まって」

 長手が止めた。

 「なに?」

 僕は、再び長手の方を見る。

 「い、いや。別になにかあるわけじゃないけど」

 歯切れの悪い言葉を使い、体をモジモジされる。

 すると、何かを思いついたように。あ!。と言って。

 「学校の様子どうだった?私が休んで、なんかあった?」

 確かに、長手が学校を休んだのは随分と久しぶりだ。

 「とくには。でも、みんな心配してたよ。どうしたんだろうって」

 「そ、そっか」

 長手はバツの悪そうな顔をする。

 「あま、長手は最近頑張ってたし。偶にはゆっくりしてもいいじゃない?」

 僕がそう言うと、長手は少し笑って。

 「うん」

 うなずた。

 そんな話をしていると、後ろから。

 「あれ?久しぶじゃない?」

 スーツを着た長手のお母さんが話しかけてきた。

 「げ!母さん」

 長手はドンドン顔色が悪なる。

 「お久しぶりです」

 「大きくなったね。何センチあるの?」

 「確か・・・・・」

 明確な数字は覚えてなかったので、おおよその数字を教えた。

 「おお。そりゃ大きいね」

 おばさんは、笑いながらバンバンと僕の腰あたりを叩く。

 「それで、どうしたの?」

 「ああ、てが」

 「まって」

 僕が説明しようとしたら、長手は大声でかき消した。

 「夕、急に大っきい声出さない」

 おばさんは長手よりも大きい声で叱る。

 「ご、ごめんなさい」

 長手は萎縮した。

 「で、何しに来たの?」

 おばさんは正直怖い人だ。

 曲がったことが嫌いで誰であろうと、容赦なく怒ってくる。

 僕も昔はよく怒られていた。

 「ちょっと、学校帰りに寄っただけです」

 なので、長手がサボったと知ったらきっとすごく怒るだろう。

 なので、この場は助け船を出すことにした。

 「あ、そうなの。じゃあ、上がっていきなよ」

 「いや、もう帰るところだったので」

 「あ、そうかい?じゃあ、また来な」

 「はい」

 僕は返事をして。

 長手の家を離れた。

 するとすぐに。

 「夕なんて格好してんの?」

 と、怒鳴り声が聞こえたのは無視しておこう。

 「ご、ごめんなさい~~」

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