第2話
なんとなく、距離ができ始めたのは中学2年の頃だったと思う。
それまでも、そんなに距離が近かったわけじゃないけど。
普通の友達より仲がよくお互いが、お互いのことをよく理解していたと思う。
それでも、やはり同性の友達のほうが居心地がいいと思うのは当然で。
そのことに対して、文句なんてないし。僕もそうだった。
そんな感じで、中学を卒業してたまたま同じ進学先だった。
まあ、このあたりでは人気のある学校なので本当に偶然だろう。
そして、ゴールデンウィークを間近にあんなことを言われて。
あの後から何故か長手のこと考えてしまっていた。
なんで、あんな信じてくれなかっただろう。
ムキになってまで、付き合いたいだなんて。
よほど焦っていたんだろな。
そう、結論づけた。
「あ、遅いぞ」
学校に行こうと家を出ると長手が待っていた。
「え?どうしたの?」
こんなことは小学生以来だ。
「どうしたって。き、君が言わないか監視しに来たんだ」
「言わないって」
「はっ。ほんとかな?信用ならんな」
ぷいっと、体を背けると長手は歩き出す。
「ほら、遅れるぞ。早く来い」
長手は、今日も機嫌が悪そうだ。
「長手、なんでそんなに機嫌が」
「悪くない」
僕がすべて言い終わる前に、僕の声をかき消すように被せた。
長手は振り返ることなく少し前を歩く。
「機嫌悪いんじゃん」
ぼそっと呟くと、長手が振り向き。
「なんか言ったか?」
目が笑っていない、笑顔がこちらを襲う。
「いえ。何でもないです」
「そうか。ならいいだ」
絶対機嫌が悪いよな。
じゃあ、なんで機嫌が悪いか。
もし、僕に関係あるとすればやはり昨日のことだろう。
「昨日、僕が告白断ったから?」
僕が言うと、長手は足を止めていた。
後ろを歩いていた僕は、長手とぶつかった。
「ち、違うし」
「え?」
小声過ぎて聞き取れなかったので、聞き返す。
「フられてないし。そもそも、代償だし。本気じゃなかったし」
「あ、あの」
長手は、涙目になりながら続ける。
「だから違うから」
「う、うん。そうだね。ごめんね」
ぷるぷると震えだしたと思ったら、いきなり走り出した。
「フられたわけじゃないから」
そう言いながら走り出したが、すぐに生きが切れて数メートルで膝に手をつき力尽きていた。
「だ、大丈夫?」
僕は、駆け足で長手のそばに行くと顔を真っ赤にして。
「帰る」
「え?」
「帰る」
そう言うと、泣きながら長手は帰っていた。
「え?学校は?」
その日長手は、学校を休んだ。
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