第6.5話 雨の日の彼女

 真面目で委員長とかでみんなをまとめたりして、賢くて。

 そんな感じの同じクラスの男子がタイプでよく気になる人候補になっては、クラス替えでその人と別のクラスになっちゃって、別のそういう男子が良いかもってなって。

 付き合いたいとか、一緒にいたいとかそんなのは全然無かったから特に悔しいとかずるいとか思ったこともなかった。

 そんな「恋愛気分」にしかなったことがなかったから、今回もおんなじ気分なだけかなって。


 そう思ってた。





 高校受験が終わった帰り道、ちょうど目の前に彼がいて興味本位で喋りかけてしまった。

 入試の答え合わせを口実に


「ねぇ、池の周りって答え200mであってる?」


って。


 そしたらビクッとしてから振り向いてくれて、こっちまで戻ってきてくれてそのまま一緒に喋りながら帰ったんよね!

 答え合わせのドキドキなのか突然喋りかけたからどう反応されるのかなっていうドキドキなのか分からなかったけど、ただ遠くから見ているだけでは感じたことのない感覚だったなぁ。

 それと同時に何となく懐かしさと安心感があって、そういえば小学生の時もこんな感じで喋ってたなって思い出して。


 ......ちょっと気まずくなって?

 あの頃は恋愛の「れ」の字も知らなかったし!


 家に帰った後も今は私のことどう思ってるんだろうとかちょっと頭によぎるようになって。




 それで終わりやと思ってたから体験入部でばったり出会ったのはびっくりしたなぁ〜!

 でもその後、喋りかけてくれてだんだん打ち解けていって、

 もっと喋りたいなって、

 もっと一緒にいたいなってなって。





初恋なんだろうな。





ポツポツと落ちる雫の中を少しゆっくりと歩く。

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