アテンヌが転生したらフランケン

なばば☆

第1章 欲望のままに

第1話 転生ってマ??

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 東京湾を、臨むウォーターフロントに無数の、タワーマンションが 林立して夜空を、きらびやかに 彩っている。


 しかし、さやかが当選した部屋は10階と微妙で、さらに当初見えていた、海との間に新しい建物が建築されますます、窮屈さを感じている。


 さやかは、仕事で 疲れた体を引き もう見なれた景色を横目に、ドアを開けスッと、身を すべり込ませる。


 仕事は、アテンヌ《客室乗務員》をしていて今日の便で、日本に帰ってきた時にはすでに、深夜に差し掛かるかという時間帯になった。


 電気をつけて、ヒールを脱ぐと ちょうど彼氏から、電話が かかる。


「なぁ もう2週間も 会ってないんだから」


 アツシは、書いて寄越したした内容と同じ言葉を、投げかけてくる。


「今日は ほんとムリ

シンガポールから今 帰ってきたとこよ

明日は 早朝からニューヨークだし」


 さやかは、吐きすてるように語る。

 そして、話題を変えるように


「今日さ この前 話した 背の高い新人の子が またイジメられて 頭から水をかけられてたから 助けてあげたの

その子 機長と 付き合ってるみたいで・・・」


 と、話している途中で、


「もう いいよ!」


 と、いきなりアツシは 回線を切る。


「あーあ また終わりかなぁ」


 生暖かいスマホを、充電ケーブルにつなぎ、服をぬぎすてる。

 少し、カビ臭いバスルームに入り後頭部のおだんごヘアを、解くと 腰のあたりまである長い髪が 、現になる。

 頭の先から、ぬるい湯を浴び塗り込んだ、メイクを落とす。


「めんどいから ショートヘアに

しようかな」


 つややかな毛を洗いながら、つぶやく。


「全部 切りたい」


 ひとしきり、キレイにして ふと湯船を恨めしそうに睨んだ。


 体と頭それぞれタオルを巻き、リビングのソファーに腰かける。

 持って帰ったレジ袋が2つ、テーブルの上にある。

 その1つは、コンビニで買った あさり入りのパスタと、杏仁豆腐が入っている。

 さやかは、もう1つの袋からドリームキャッチャーに似た東南アジアの、おみやげを取り出す。

 あやしさ満点の店構えにひかれふらっと、立ち寄ったのだ。

 その中に、これまた あやしげなおばあさん店主と、おでこに札を貼った小学生くらいの少女がいた。

 店主曰く、その おみあげは願いを、かなえてくれるらしい。

 彼氏への、プレゼントのつもりで買ったのではあるが、もう役目を終えたと思い、


「次 生まれ変わったなら男に なりたいなぁ」


 と、つい クチを突いて出た。

 そして、手を合わせ 静かにパスタをクチに運ぶ。

 眠気で、意識が飛びそうになりつつ遅い夕食を 済ませ塩素に、浸したフロスで 歯間のヨゴレを落としてから、歯みがきをする いつものルーチンをこなし、かりそめの安息に沈みこむ。


数時間後


 けたたましくもない、アラームが響きガバッとアヒル座りになる。

 窓の外は まだ薄暗い。


 身支度を、整え地下鉄に乗り 羽田へ。

 車両に揺られていると、また眠気が襲ってくる。

 ガクッとなった時、ギュッと誰かに、抱きしめられた。


「大丈夫ですか??」


 その男は、なんとターキー・オットーマンという有名人だ。

 そのカッコよさに 面食らって顔が紅潮する。

 眠さが、一気に 覚める。

 しかし、非情にも羽田駅に到着して、


「あっ あの ありがとうございます」


 と、言うのがやっと。


「いえ

お互い生きていたら また 会えるでしょう」


 と、言葉を残し去ってゆく男。

 卑屈な、男としか付き合ってないさやかには彼が眩しすぎる。


 空港内で、軽く食事を済ませ仕事の準備を始める。


「ねえねえ聞いた??」


 同じ便の子が、話しかける。


「どしたの ??」


「ハワイ便の子に聞いたんだけど

宇宙エレベーターが54機あるじゃない」


「うん それで??」


「あれも 嵐をさける為に移動するから

航路と 被って けっこう危険な

フライトになったって」


「そうなんだね~」


 さやかは朝、出くわした色男の事でうわの空に、なっている。


「まあ 気をつけなはれや」


「うん」


 ついつい、生返事になるさやか。


 そして、運命の空へ。


「経路に大きな低気圧が多数 確認されるが 特に問題ないだろう」


「了解」


 機長と副操縦士が安全確認を行っている。


「チェック」


「コピー」


『まもなく当機は

ジョン・F・ケネディ国際空港に向け

フライトいたします』


 機長の、アナウンスが流れる。


「シートベルトを お締めください」


 さやかが、乗客にたのむが、


「やーだ おばさん あっちいけ」


 子供が ぐずって なかなかベルトが付けられない。

 それでも、なんとか付けさせ 、


「ラジャー これより離陸する」


「フルスロットル

V1V2

テイクオフ」


 まばゆい朝日を、浴びながらチカラ強く、浮きあがる機体。

 そして、長い旅路ははじまる事に。


 システムに、異常はなくアラスカ上空に、差し掛かったころ、


「ん なんか見えないか」


「機長 どうしました??」


「低気圧はない・・・が

正面の黒いの見えるか」


「えーっと 何かありますか??」


ピーピーピー プルアップ


 警告音が、鳴り響く。

 機長は、冷静を保とうとした。

 乗客は、ほとんどシートベルトを外し ウロウロしている。


 しかし、


 副操縦士は、機体の指示通り自動運転を切り、機首を上に向けた。


「そうじゃない 下げろ 機首 下げろ」


 その時、エアポケットに入ったかの如く飛行機は、一気に急降下する事態が発生。


 乗客の中には、荷物入れに背中をぶつける者や、シートにしがみつき助かる者など様々だがやっと落ち着いた時、乗客たちが目にした光景は、


 首から上が、天井に つき刺さっているさやかだ。

 手足も、だらんとチカラなく たれ下がり呼吸をしている様子もない。

 乗客が駆け寄り、引っ張り下ろそうと手をかける寸前で、残りの体も機体の外へ、吸い出されてゆく。


・・・


 石づくりで、古ぼけた6畳ほどの部屋の真ん中に、木製のバスタブがある。

 その中は緑色の液体で、満たされている。

 窓が、小さいせいか昼間なのに薄暗い。


「がはあッ ゲホッ ゲホッ」


 静寂を、切りさくようにドロッとした緑水の中から、1体のモンスターが姿を、現わす。


「ヤバッ・・・寝ちゃってたわ

あたし」


 あたりを、見回すモンスター。


「てか ここってドコなの ??」


 体が、思うように動かない。

 やっとの思いでバスタブから這い出て、赤ちゃんのような四つん這いになり壁に、はえたツタを掴み生まれたての、小鹿のようなプルプルの足運びで、歩きふと、シミだらけの鏡で自分の姿を見たモンスター。


「え・・・誰だコレ??」


 目に、飛び込んできたのは首から上は、かわいらしい少女。

 しかし、首から下はまがまがしい 薄い青色の体。


「誰なのこのフランケン」

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