第21話 消えた2人
《シウがパーティーを離脱しました。》
《シュウがパーティーを離脱しました。》
「な、なにが起きた?」
俺は、目の前に浮かぶ通知を見てそう言った。
とりあえず俺は、崩壊現場から少し離れた場所に座り込んで、シウとシュウの2人に何が起きたのか考える。
最初は、2人のイタズラで、俺が下までロープなり、他の道具なりを使って、崖下まで降りた時に2人が無事に出てきて、
《ドッキリ大成功!!》と書かれたプラカードでも構えてるのかと考えたが、こんなことをする様な2人ではないし、そもそもそれで死んだら元も子もない。
つまり2人のイタズラではない。
そして、2人が最後に喋った時に出ていた、『誰』と『テメェら』という発言から、パーティーから離脱したという通知が届く直前に誰か、それも複数人と遭遇していたと考えられる。
そのことからそいつらが2人を連れ去ったと考えられる。
つまりこれは……
「イベントってことか…」
そうと決まれば、速攻でクリアして、2人を救出するとしますか。
そう考えながら俺は、立ち上がって崩壊現場まで向かった。
崩壊現場に着いた俺は、まず崖下まで降りれそうな場所を探していた。
最初は、崩壊現場からロープで降りればいいと考えたが、2人を連れ去った奴らがそこで、『カモ一丁入りまぁす!!』と待ち構えているかもしれないで、少し離れた所から降りようと考えていたのだが……何処もかしこも断崖絶壁である。
まるでどっかの
……なんか嫌な予感がするな。
そんなことを考えながら降りれそうな所を探して……見たのだが……無い。
降りれそうな所が……無い。
「やっぱり無いか〜」
やはり
その後、まな板にはまな板なりの良さがあるって伝えておけば良いですよーとか言ったら、
あんまり内容は覚えてないが、確か『まな板って言うな!!』とか、『貧乳はステータスだ!』とか書かれていた筈だった気がする。
まぁ、あいつが胸がデカかったら多分俺は、
「大きすぎる。修正が必要だ」
とハ○ラー・ワンになっていたところだ。
……話がそれている気がする。修正が必要だ。
さて、現実逃避はやめて真面目に考えますか。
少し考えてみると案が3つ出てきた。
1 下に水があることを祈って飛び降りる。
A下に水が無かったら
2 頑張ってクライミングしてみる。
A 掴めるところが無いよ。クライミングってどうやんの?
3 アーススパイクを足場にしながら降りる。
A この案の中だと1番降りれる可能性があるが、足滑らせたら死ぬ。そして30代のおじさんの運動能力だと多分足滑らせる。つまり死ぬ⭐︎
「……三分の二が死ぬ可能性大か…」
俺はそんなことを呟きながら、辺りを
「うん?なんだアレ?」
俺は、荷車に大きな布袋を二つ乗せて道を進む謎の一団を見つけた。
そして、布袋からさっきまで一緒に行動していた仲間の特徴とも言うべき、もふもふの尻尾が飛び出していた。
「……見つけられて良かったと喜ぶべきか、それともどうやってあそこまで行くのかと嘆くべきか。……おじさんはどうすれば良いんだろうね」
まぁそんなことを口にしても、今俺ができることは2つだ。
1 尾行する。
2 奇襲する。
1はともかくとして、2は無理だな。と俺はすぐに奇襲する考えを捨てる。
確かに俺の武器は
それに、万が一敵がこちらに対する攻撃手段(魔法とか)を持っていた場合は…もう考えたくない。
しかし尾行するにしても下に降りないことには始められない。
そんなことを考えている間にも謎の一だ……もう人攫いでいいか。人攫い達は着々と進んでいた。
ゲームによくあるメニュー画面とか開いている間は時間が止まってくれれば良いのになぁ……とそんなことを考える。
けど人攫いは待ってはくれない。
「やるしかないか…」
俺はそう言って、助走をつけるために少し後ろに下がった。
失敗すれば2人を助けられない。しかし、ここで行動しなかったら確実に2人を助けられない。
100%助けることが出来ないよりも、1%でも助けられる確率があるんだったら
理由は特に無い。
けど、仲間を見捨てる様な奴になりたく無い。
フゥッーと息を吐き、気合を入れる。
こういう高い所から飛び降りる時は
俺は一歩踏み出し、そしてその勢いで崖下へと飛び降りる。
そしてこう叫んだ。
「エンダァァァァァァァァァァァァァイヤァァァァァァァァ!!」
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