第11話 最初のゲームオーバーはペシャンコ
どうも皆さんベルスケです。
俺は今、走っています。ガチ走りです。1番最初に走り出したのに、いつの間にか最後尾です。
後ろを振り向いてみると、ゴブリンアーミーの方々がそれぞれ手に武器を持って追いかけてきてます。
これが本当の鬼ごっこってね。
はっはっは。
嘘です冗談抜きで助けてください。
俺はそんな事を思っていると、ゴブリンアーミーの1匹が短剣を俺に投擲してきた。
ビュッ。
頬を掠る。少しだけHPバーが減少する。
「フォー↑」
少しだけ走る速度が上がる。がしかし、それでも、シウとシュウの2人は俺の前を走っている。
「ねぇ、2人ともおじさんを助けてくれない?」
と、泣き言を言うと、
「頑張れ頑張れ〜」
「ファイト〜」
そう返してきた。薄情なヤツラめ…
そのまま10分程度走り続ける。
あともう少しで逃げ切れるというところで、新しい奴が現れた。
そいつは、ゴブリンアーミーだったが、ただのゴブリンアーミーではなく、なんかオオカミに乗っている。
「ゴブリンライダー!!」
とシュウが叫ぶとシウが、
「げぇっ」
と女の子らしくない声をあげた。
「ゴブリンライダーってどんな奴?」
シュウに聞くと、
「ゴブリンアーミーよりも速くて強い奴」
「どれぐらい速いわけ?」
どのぐらい速いのか気になって聞いてみると、
「姉さんが全力で走って逃げ切れるかどうか」
マジかよ、えぐいわぁ。
そんな奴が6、いやオオカミを合わせて12匹が俺たちの前に立ち塞がっている。
後ろからはゴブリンアーミー達が迫ってきている。
まさに、前門のゴブリンライダー、後門のゴブリンアーミーと言ったところか。
さてどうすっかなぁ…
「とりあえず突破でいいですか?」
シウが聞いてきたので、
「それしかないかなぁ〜」
と返してからゴブリンライダー達に突撃した。
突撃した俺たちに対して、ゴブリンライダー達は、2匹ずつ当たることにしたらしい。
しかも1匹が前衛を務めて、もう1匹が後ろに回って奇襲する戦法をとってきた。
「グガァッ」
飛びかかってきたオオカミの、急所に当たれば即死しそうな牙をライフルで防ぐ。そのまま蹴りを入れて、オオカミを蹴り倒す。
オオカミとゴブリンライダーが分離したので、
厄介なオオカミの方から倒そうと、スクラマサスクを抜いてトドメを刺そうとした瞬間、後ろからもう1匹が飛びかかってきた。
俺は辛くも、突き刺そうとしたスクラマサスクを止めて、もう1匹の方に向ける。
その時にはもう必殺の牙は俺の首を噛み付ける位置にいた。
マズい!やられる!!
俺は咄嗟にスクラマサスクを持っていない方の手を出した。
オオカミの必殺の牙は首ではなく、俺の手首を噛む。キラキラとダメージエフェクトが散る。
「こんの犬畜生が!!」
俺はスクラマサスクをオオカミの目に突き刺す。オオカミは一瞬ビクンッと震えてポリゴンの欠片になった。オオカミに乗っていたはずのゴブリンライダーが落ちて尻もちをついたので、頭を思いっきり踏みつける。それだけで首が折れた判定になったのか、ポリゴンの欠片になる。
振り返って見ると、オオカミが起きあがろうとしてたので、足で押さえてから、スクラマサスクでトドメを刺す。その時には既に立ち上がっていたゴブリンライダーが槍を突き出してきたので、槍を弾いて、奪い取ってゴブリンライダーの喉元に突き刺す。
HPバーが無くなったことを確認して、シウとシュウの様子を見てみると、2人とも俺よりレベルは高いからか、もう片付いていた。
ん?どうやら先程の戦闘で俺のレベルが1上がった様だ。
よし、逃げようと言おうとした時、ゴブリンライダーがポップした。
今度は先ほどよりも倍、数が増えている。
しかもゴブリンアーミー達が、もうすぐ追い着くいてしまう。これは…死んだな。
どうする?俺、考えろ。最小限の被害で、最大の効果を出すには…これしかあるまい。
俺は、シウとシュウに対して叫ぶ。
「逃げろ!!」
その言葉に対して2人は、
「おじさんはどうするの⁉︎」
「おっさん!何するつもりだ⁈」
どうするの、何をするつもり。か…それは簡単なことだよ。
「俺はここで時間を稼ぐ。その間に逃げろと言っているんだ」
そう言うとシウが、
「でも…それだとおじさんが死んじゃうんじゃ?」
「まだ俺は、このゲーム内で死んだことがないんでな。経験しておきたい」
そう返すと、シウが一言、「バカ」と言って走っていく。
シュウは一言、「今度の武器とか防具の修理は無料にしとくよ」
と言って、シウの後を追う。
ゴブリンライダー達が2人の後を追おうとしたので、先程レベルアップしたおかげで使えるようになった魔法を発動させる。
「アーススパイク!」
地面から、細長い円錐状の棘が突き出す。
ゴブリンライダー達は、2人に注意が向いていたので、避けられずにオオカミごと串刺しになる。
クルリと体をゴブリンアーミー達の方に向けて、スクラマサスクを構える。
「此処を通りたくば、俺を倒していけ!」
言ってみたかったんだよなぁ…このセリフ。
そう思いながらゴブリンアーミーに突撃した。
「ハッ、ハッ、ハァッー」
あれから何分経ったのだろうか、体感では20分間は、超えている気がする。
脳を酷使している為、疲労がヤバい。
おじさんには、キツイなぁ。と思いながら、刃こぼれだらけのスクラマサスクで、ゴブリンアーミーの首を切り飛ばす。
ゴブリンアーミーの顔面を掴み、振り回す。
それだけで、周りのゴブリンアーミー達が弾き飛ばされる。
ゴブリンアーミーが突き出した槍が体に突き刺さる。ただでさえ残り少ないHPバーがさらに少なくなる。
痛ってぇ…いや痛覚は無いが、そう思いながら体に突き刺さった槍を引き抜いて投擲する。
槍はゴブリンアーミー達の不運な1匹に突き刺さる。ゴブリンアーミーの弓持ちが放った矢をスクラマサスクで弾く。
そのままスクラマサスクで、近くにいたゴブリンアーミーを切り裂く。
それが限界だったのだろう、刀身が半ばから折れてしまう。
仕方がないので、ゴブリンアーミーが落とした斧を拾って、それで頭をかち割る。
弓持ちが放った矢が、足に突き刺さる。
さらにHPバーがさらに残り少なくなる。
竜人の闘争求める本能なのだろうか?何故だかわからないが、戦うのが楽しい。
気づくと俺は、両手で地をつかんでいた。手には鋭い爪と頑丈そうな鱗が生えており、両足も同じ様に変わっている。
手当たり次第に、素手で引き裂き、叩き潰し、蹂躙する。
赤いポリゴンの欠片が辺りに散り続ける。
「グォォッ!ガァァッ!ゴガァァッー!!」
俺の、声にならない叫びだけが森の中に響く。
気づくと、ゴブリンアーミー達は恐れをなして逃げてしまったのか、ゴブリンジェネラルだけが残っていた。
「グガァッ!」
俺は、ゴブリンアーミーから奪い取った、錆びついて、乱雑に扱ったため、半ばから折れてしまった両手剣をゴブリンジェネラルので頭に振り下ろした。
そこは一応ジェネラルと名前に入っているだけあって、避けられる。
そのままゴブリンジェネラルは逃走しだした。
俺は、両手剣を捨てて四足歩行で追いかける。
そのまま後を追い。あと少しで、追いつけると思った瞬間、何かが飛び出してきた。
それはゴブリンというにはあまりにも大きすぎた。異世界ものでよく出てくるオーガとも違う。コイツが何者だか全然分からないが、一つだけ分かっていることは、コイツは俺を殺そうとしているということだけだ。
それを理解した時には、もう目の前に大木をそのまま削りだしたかの様な、棍棒が迫ってきていた。
俺は、あっ、ハエ叩きで叩かれるハエってこんな気持ちなんだなぁ。と思いながらペシャンコにされた。
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