第10話 ゴブリンってさ、あれだよね、同人s…
ゲームをログアウトした俺は、まず時計を確認する。
うん、午後3時ってことで寝ます。おやすみ。
はい、おはようございます。
現在時刻は午後7時なので夕食を食って、シャワーを浴びる。少しテレビを見てから、ゲームにログインした。
クェルーの街に降り立った俺は、まず、あの
あの2人どんだけログインしっぱなしなんだ…そう思いながら向かうと、いつもの場所で露店を開いていた。
どうやら、お客さんがいる様で緊張した顔で接客している。
何か話している様だ…
聞き耳を立ててみると、この様な会話が聞こえてきた。
「なんだよ、魔鉄製のハルバード売ってねぇのかよ!!」
「申し訳ございません、まだ製作しておりませんので…」
「けっ、まぁクェルーとかいう最初の街に引きこもってるガキが売ってるわけねぇか」
「鉄製のハルバードでしたらお売り出来るのですが…」
「あぁん?鉄製?テメェ、上位ギルド《DOOM》の一軍である俺に鉄製だと?舐めてんじゃねぇぞガキィ!」
「申し訳ございません…」
「あぁ、もういいよ、俺らの口コミ一つでこんな店簡単に潰せるんだからなぁ」
ヒャハハハと笑いながらそいつらは、去っていった。
俺は、2人に話しかけようとして、近づくと…
「あぁもう!なんなのあの人たち!上位ギルドだからって調子に乗って!恥ずかしくないの?馬鹿なの?人の作った武器を使ってもないのに酷評して、本当にっ、死んじゃえば良いのに!」
「潰す、潰す潰す、潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す!」
うわぁ、荒れてるねぇ〜
「荒れてるねぇ〜」
そう荒れてる2人に話しかけると、思いっきり睨まれた。あれ?おじさん悪いことした〜?
「どうしたんだい、そんな睨んで、ほら笑って笑って、あれ?どうして腕を掴むんだい?」
両手を掴まれて、そのまま引きずられる。そして引きずられたまま酒場に連れて行かれる。
ケツが痛え…
そのまま、自己紹介をした席に座らせられて、シウがなんか言い始めた。
「今から、遠足に行きます。何か質問は?」
「は〜いシウ先生、タバコはおやつに入りますか〜?」
「入ります」
「は〜いシウ先生、ライフルの弾薬がそろそろ無くなりそうなんですけど、どうしたら良いですか?」
「ライフルで殴って下さい」
なんかめちゃくちゃ言い出したよこの子…
「質問は以上ですね」
はい、と返しておく
「では出発です」
そして、地獄の遠足が始まった。
「ハアッ、ハアッハアッ」
息切れがヤバい。ちょっと速すぎないこの子達?こちとらおじさんぞ?ちょっと走っただけで疲れるおじさんぞ?少年少女達に走ってついて行けるほど体力ないねん…
なんとか、目的地まで辿り着いた。
「おじさん、遅いですよー」
「遅ぇぞおっさん」
もう目的地には、シウとシュウの2人がついていた。
俺はその場に仰向けに倒れ込む。
俺の視界に雲一つない青空が広がる。
「お空が綺麗だなぁ」
「ふざけてないでさっさと起きろおっさん」
はいはい、分かりましたよ…
立ち上がって、ここに来た目的を教えてもらってない、と思ったのでシウに問いかける。
「何の用でここに来たんだ?」
「魔鉄を採掘する為です」
「ここ、どう見ても森なんですけど…鉱石とかって鉱山で採れるんじゃないの?」
「鉱山は掘り尽くされてしまってるので、ここで採ります」
そう言って、森の中に入っていく。俺は置いていかれない様に、必死になってついて行った。
それまでに、サルだとか、オオカミだとかが出てきたが、2人とも一撃で仕留めていく。
「コイツらが魔鉄を落とすとは思えないけど…」
そう聞くとシュウが、
「俺らの目的はコイツらじゃなくて、もっと奥に行くとポップするゴブリン達だ。」
「ゴブリンかぁ、あんま良い思い出無いなぁ…」
「なにおじさん、ゴブリンにトラウマでもあるんですか?」
シウが聞いてきたので俺は、
「いやさぁ、ゴブリンってさゲームだと雑魚敵だけど、ほら、同人s『黙れ!』」
シュウにキレられた…
「姉さんの前でその様な事を言うとは、叩っ斬っても良いくらいだそうだ首を出せ、切り落としてやる!(早口)」
高速早口やめれ。
「私は気にしてないからシュウ、落ち着いて…」
シウが宥める。
「おい!おっさん!海よりも深く山よりも高い心を持つ姉さんのお慈悲に感謝する事だな!(早口)」
だから高速早口やめれ。
「女神様ありがとうございます!」
そう言って、
「もうっ、やめてくださいよ〜」
照れてる。かわいい。
けど、照れながらも、自分の後ろでポップしたオオカミ2匹を同時に倒してるのは、う〜ん怖い。
そうなこんなで、森の奥深くまで進んできた俺らは、小さな村を見つけた。
そこで奴らを見つけた。
緑色の肌、小さな体躯、長い耳、ゴブリンだ。
幸い、まだこちらにはまだ気がついていない様で、ウロウロしている。
俺達は、小さな声で作戦会議を始めた。
「どうする?」
「ここは、私が突撃して注意を引くから、そしたらシュウが後ろから奇襲して。おじさんはあそこの
「OKそれで行こう」
そして俺達は、それぞれの持ち場に着いた。
俺の視界には、櫓の上で辺りを見渡している弓持ちのゴブリンが2匹映っている。
俺は、ライフルを構えて、ゴブリンの頭に狙いを定める。そのまま狙いを定めたまま、報告した。
「こっちは準備OKだけどそっちは?」
「こっちもOKです」
「OKいける」
シウとシュウからの返事を聞いて俺は、
「んじゃ、始めますか」
そう言った。
まず先陣を切ったのは、シウだった。
ビックホーンボアの大曲牙から作ったのであろう、大曲刀を両手で引きずる様にして突撃した。
狼の獣人特有の足の速さで一瞬のうちに、村の中心に到達すると、そこでイノシシを丸焼きしていたゴブリン4匹を横回転しながら上半身と下半身にパーツ分けした。
ゴブリン達は突然現れた襲撃者に対して、すでに武器を構えて応戦しようとしている。
ほとんどのゴブリンが、シウに注意を向けている。
そこにシュウが背後から奇襲した。
とあるゴブリンは、メイスで頭をかち割られ、またとあるゴブリンはヒーターシールドで叩き潰されと、倒されていく。
シュウに注意が向くと今度はシウが、ゴブリン達を切り伏せていく。
そこに、櫓の上から矢が降り注いだ。
シュウが慌てて、シウの前に立ってヒーターシールドを構えて守る。
一方で2人の前にいたゴブリンは上から降り注ぐ矢で蜂の巣になっていた。
元から櫓の上にいたゴブリンの他に櫓を登った弓持ちのゴブリンがいたらしい。2匹から3匹増えて5匹になっている。
仲間のゴブリンごと撃つとは凄いなぁ〜と思っていると、シウから泣き言が飛んできた。
「おじさ〜ん、弓持ちは任せるって言ったじゃ無いですか〜」
「ほいほい」
そう返して、俺に一切気づいていないゴブリン達を1匹ずつ仕留めていった。
戦闘が終わった俺達は、ゴブリン達が落としたアイテムを拾っていったが、どうにも《錆びた短剣》だとか、《ボロ布》だとかの素材しか落ちておらず、目的の魔鉄は一つも落ちていなかった。
「おいおい、これからどうすんの〜?」
そう聞くと2人は、
「これからが楽しいんですよ」
「これで終わりだとでも?」
意味がわからん。
「それってどうい…」
ブォォォー!
角笛の様な音が聞こえた。
音がした方向を見てみると、なんかさっき倒したゴブリン達よりも体格のいい重装備(ところどころ錆びついている)のゴブリン達が現れた。
俺は慌ててシュウに問いかける。
「アイツら何!」
「ゴブリン」
「見れば分かるわ!」
「ゴブリンアーミーっていうゴブリンの正規軍的なポジションの奴ら。普通のゴブリンよりも統率のとれた動きをする。ポップ条件はゴブリンの村を襲撃して一定時間経つとポップする」
ふ〜ん正規軍ねぇ…勝てなくね?
「まぁまぁ、強そうに見えますけど奥の方にいるゴブリンジェネラルっていうのを倒すと、散り散りになるんです。けど、基本的に後ろでガン芋かましているのでそこでおじさんの出番というわけです」
確かになんかチラチラと羽飾りの着いた兜が見える。
「あんまり体力が高くないので、ライフルを頭に命中させれば多分即死させれると思います」
「やってみるけど期待はするなよ」
「大丈夫です。信頼してるので、ね?シュウ?」
「ウンシンライシテル」
シウは良いとしてシュウくんなんか棒読みじゃね?
「ソンナコトナイヨ」
なら良いか。
俺は、本当に期待はするなよと、2人に言ってから、櫓に登った。
櫓からゴブリンアーミー達を見てみると、確かに一番後ろに一際ガタイのいいゴブリンがいた。鉄とは違う色をした鎧を身につけて、立派な羽飾りの着いた兜を被った姿はまさに歴戦の将軍と思えた。
俺は、櫓の柵の上にライフルを置いて、ゴブリンジェネラルの頭に狙いを定めた。
「じゃあな」
そう言い放ち引き鉄を引く。
カチッ。
えっ…
もう一度引き鉄を引く。
カチッ。
嘘だろ…
そう思いながら、全速力で櫓から飛び降り、2人の元に向かう。
2人は俺の顔を見て、パァッと顔を輝かせながら聞いてきた。
「その感じだと、倒せたんですね!」
「ナイスおっさん」
2人の笑顔が苦しい。しかし時には辛いことも言わなくてはいけないのだ…
「2人にお知らせがあります。え〜ゴブリンジェネラルくんは倒せませんでした!誠に申し訳ございません!」
そう言うと2人の顔から笑顔が消えた。
「使えないですね〜」
「なんで?どうして?」
辛い…
理由を説明する。
「タマギレッ↑」
昔よくやっていたFPSゲームのキャラの声真似をしながら言ってみると、
「バカッ」
「ボケッ」
大変不評でした。
「まぁ2人とも今はそんなことよりも大切なことがあるだろ」
「なんですかバカ」
「なんだボケ」
「それはね、、、ここから逃げることサアーッッ!」
全力疾走で迫り来るゴブリンアーミー達から逃げる。
俺に少し遅れて、シウとシュウの2人も走り出した。
このまま逃げ切れるといいが…
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