第9話 フレンドが2人増えたよやったねオジサン!

街の北地区のチンピラ達をだいたい更生させた俺は、街の南地区に向かっていた。

街の南地区は、プレイヤーの露店や、ギルドなどが集まる地区で、他の地区と比べても、一番プレイヤーの数が多い。

この街からギルドを作って、トップギルドになったという所も多いらしい。

まぁ、ここよりも、帝国国境付近にある前哨基地(街?)の方がプレイヤーの数が多いらしい。

いつか、行ってみてぇなぁ…

そんなことを思いながら、あの2人の露店に向かい、開いているか見てみるとまだ開店準備をしているらしい。

建物の陰から見ていると、思いっきり、獣人の少女と目が合った。

そのまま、ジト目で見つめてくる。

俺はサッと移動して露店の前に立つ。

まずは、

「こんにちは」

と挨拶すると、

「こんにちは」

「こんちゃす」

と挨拶を返してくれた。

さて、ここからどう会話を繋げるか…と思っていると、獣人の少女が、

「さっきのオジサンすごい変態みたいでしたよ」

「変態ぃ!本当にそう見えた?」

「えぇ」

「ヤベェすんげぇ傷ついたわぁ〜そもそもおじさんは変態という名の紳士だよ」

「変態じゃん」

ふふふ、これぐらい小さな子から変態と呼ばれる、新しい扉が開きそうだ…

「姉さんどうするこいつ、シバく?潰す?殺す?」

弟くん、その手に持ったスレッジハンマーを置きなさい。

「まぁまぁ、落ち着いて」

獣人の少女が落ち着かせる。

「姉さんがそう言うなら…」

弟くんが地面にスレッジハンマーを置く。

「そうだぞ落ち着けよ」

俺が言うとスレッジハンマーを手に持つ。

「殺す潰す殺す」

怖っわ。


お姉ちゃんが弟くんを必死に宥めて、落ち着かせたところで、俺達は街の酒場に向かっていた。

こういうのは、カフェとかそういう所じゃねぇの、と獣人の少女に聞くと、

「せっかくファンタジーな世界にいるんですから、酒場じゃないと!」

う〜ん、凄い勢い。

「早く来てくださいよ〜置いてっちゃいますよ〜」

う〜ん、凄い歩くの速い。どのくらい速いかって?競歩きょうほの選手が歩くくらい速い。

「ほらっ!早く早く〜」

俺の手を握って、案内してくれる。

あら、(少女の)手が柔らかい。

なんか、隣で短剣を握りながら、ヴヴと唸っている弟くんの姿が見えるけど、ウンキノセイキノセイ。

そのまま酒場に到着すると、2階の一番端の席に座った。

それぞれが飲み物を頼み、自己紹介を始める。

まず獣人の少女からだ。

「私の名前は、シウです。種族は見ての通り狼の獣人です。職業は攻撃手アタッカーで、特技は、敵に突っ込む事と、武器を作る事です。」

次に弟くんが、

「俺の名前はシュウだ。種族は人間。職業はタンク。特技は、味方を守ることと、防具を作る事。あと姉さんに色目使った奴は絶対殺す」

うん、弟くんの味方を守ることの味方は多分、お姉ちゃんだけだろう。

そう思いながら、俺は、

「俺は、ベルスケ。種族は竜人で、職業は、まぁ狙撃手スナイパー兼、射手シューターといった所だな。特技は遠距離からの射撃と…射撃と…射撃となんだ?まぁ近接戦闘もできる。あと名前呼びは余り好きじゃ無いから、おじさんで良いよ。」

全員が自己紹介を終えると、頼んでいた飲み物が届いたらしい。

それぞれが手に飲み物を持って、

「「「かんぱ〜い!!」」」

グラスをカチンッと鳴らして、飲む。

そのまま、結構長い間、たわいのないことを喋って、お開きとなった。

そのまま解散しようとすると、シウが、

「フレンド登録良いですか?」

と言ってきたので、

「良いぞ」

と返事をすると、用意して置いたのだろうか、すぐに目の前に《シウさんからフレンド申請がきています。受諾しますか?YES/NO》

というウィンドウが出てきたので、YESを押す。

するとすぐに、《シュウさんからフレンド申請がきています。登録しますか?YES/NO》

と、きたのでこれもまたYESを押す。

フレンドが2人も増えた…基本的にソロプレイだったから、なんとも言えない嬉しさがある。

そのまま2人に今日はもう落ちることを告げて、ログアウトボタンを押した。

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