34話 ポーションのお買い物

「ええ!?上位種が2体も出現したんですか!?」


 リョウが怪我をするトラブルがあったけれど、それ以外は問題なく初依頼を終えた。

 ギルドの受付で討伐証明の提出をしていたのだけれど、私が出した粘液を見た職員が驚きの声を上げた。


「偶然かもしれないけれど、連携していたようにも見えた」

 私は出現時の状況を伝える。

「ファイアスライムとアシッドスライムですか。最近は上位種はあまり確認されていなかったのですが……。一応上に報告しておきます。もしも調査依頼が出た場合、参加していただけると助かります」




「銀貨5枚。5000ルナの収入か」

 内訳としてはノーマル100×30、上位種1000×2といったところ。

 上位種は2体とも私が倒したことを考えると半分くらい私の功績になるけれど、一応はパーティ活動になるからパーティ資金になる。

 というか宿代食事代と消耗品でカツカツだ。

 予定していた採集系をやらずに帰ってきたのも収入減に繋がっていた。ポーションで治療できたとはいえ怪我をした事で不安になっていたから、帰還を優先したんだ。


「魔法の練習も出来たし、こんなものなんじゃない?」

「もっとパーッと稼げるんだと思ってた」

 冒険者はそんなに甘くはない。

 安定して稼げるようになる前に死ぬ事だってある。



「そういやさ、なんとなくここで依頼とか受けてたけど。私たちの目的って魔王討伐なんだよね?」

「スライムしか討伐実績がないけれど、一応そうだね」

「それにしてはさ、聞かないよね。魔王とか魔族とか、そういったこと。冒険者ギルドで魔王の眷属からの被害がーとか討伐要請ーとかそういうのあると思ってたんだけど」

 気が付いた。

 魔王問題については『僕たち』が解決した訳だからね。

 さすがに昨日の今日じゃ雫とルーからの情報は入ってきていない。個人的にもまだ調べられてもいない。


「でも今の俺たちじゃ圧倒的に実力が足りないんだし、いきなり強敵と当たったら、な」

 リョウは今は跡形もない負傷部位を見た。

「確かに、上位種だったとはいえスライムで怪我してるんじゃ魔王討伐なんて夢のまた夢だよね」

「ほんと、戦力不足は早く解決したいよな」


「とりあえず、今日の収入で消耗品とか揃えようよ。今回はユーナちゃんが準備してくれてたから助かったけど、私たちもその辺ちゃんとしとかないと」

「確かに」


 そういう流れで買い物に行くことになった。




「怪我した時用のポーションと、体力回復用のポーション、魔力回復用のポーション……一気に揃えようとすると結構かかるね」

 低級ポーション(味未調整)でも1本100ルナ程度はする。

 前は調合が得意な仲間がいたこともあって店売りのものはほとんど使ったことがなかった。

 改めて店売りを見ると、なんというかレベルが低いなって。多分仲間の腕が良かったのもあるのだけど、正直しょぼく見える。それに、低級ポーションはレベルが低すぎて自分が使うことはないし。


 それに、召喚補正もあるからこの2人もすぐに低級程度では間に合わなくなると思う。

「あんまり大量にはいらないんじゃないかな。慣れるまではやばそうな所には行かないでしょ」

「確かに。じゃあ3本ずつくらいでいいか」


「あ、リョウの服買わないと」

 そういえばスライムに溶かされていたのを思い出した。

「そうだった」

 本人が忘れていた。

「この間の服屋まだ空いてるかな。消耗品は私たちで揃えておくから、リョウ行ってきなよ」

「行ってくる」

 リョウは急いで出ていった。


「こんなものかな。どう思う?」

 サリーが買うものを見せてきた。

「予算的に……これとこれ減らしてこっちにした方がいいかも」

 低級ポーションを少し減らして、低級ポーションより少しだけ効果の高い傷薬を渡した。

「怪我怖いもんね」



 買い物が終わる頃には、服を調達したリョウも合流した。

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