第3話 ミーノルさん

 狼の魔物が今にも襲いかかってこようとしたその時。


 空から光る矢が狼たちに降り注いだ。


 キャン!

 キャイーン!!


 降ってきた矢が狼たちを射抜き、次々と倒れていく。


 ドサッ!

 ドサッ!


 あっという間だった。

 声をかけてきたおじさんは大きな箱を抱えていて、まだだいぶ遠くにいるけど急いでこっちに向かってきてくれているようだ。


「はぁ、はぁ。いやあよかったよお、間に合って。ごめんね、怖い思いをさせたね」

「あ、いえ、はい」

「おや? 君は? って、待って。ちょーっと考えるから」


 そういうとおじさんは一人で考え込んでしまい、いくら声をかけてもボクの話は聞いてくれない。

 困っていると、二人のおじさんがこちらに走って来るのが見えた。


「はぁ、はぁ、はぁ。ミーノル殿! いきなり走り出されては困りますぞ!」

「ミーノル殿! いいかげんにしてもらえませんか?!」


 ひとりは少し太ったおじさん、もう一人はやせて背の高いおじさんだ。


「ん? 君は? なんでこんな所にいるんだね?」

 やせたおじさんがボクに話しかけてきたけど、なんだかイヤな感じだ。


「あー! わかった! もしかすると君、ここがどこだかわかってないんじゃない?」

「はい、そうなんです。気がついたらここに」

「そうだよねえ! そっかあ! わかった! じゃあとりあえず僕と一緒に行こう!」

「え? いや、でも」

「何を言っているのです! こんなどこの誰かもわからぬ小僧を連れてなどいけません!」

「あ、そう、じゃあ僕はジンスレールには行かないよ」

「ミーノル殿! いいかげんにしてください!」

「まあまあ、そう目くじらをたてず。ミーノル殿、どういうことか説明願えませぬか? このままでは我らも納得しかねますぞ」


「うん、そっか。ロックスさんがそう言うなら説明しようかな。僕はこの人きらいなんだよ」


もう一人のおじさんを指さす。


「くっ。私だって好き好んであなたと一緒に旅をしているわけではないのですが!」

「まあまあ、お二人とも。落ち着いてくだされ」


「あ、ごめんごめん。君、名前は憶えてる?」

「はい、タツヒコです。みんなはヒコって呼びます」


「そっかタツ・ヒコ君か。じゃあヒコ君って呼んでいいかな?」

「はい。あの、たぶんオレと一緒にこっちに来た友達、コウジとヨーコがいるはずなんです! コウジとヨーコを! 二人を見つけてください!」


「そうなの? わかった。ちょっとこのおじさんたちとお話をするから待っててくれないかな? すぐに探すからね」


 ミーノルさんはそう言うと二人のおじさんと何かを話し始めた。


 時々、おじさんたちが驚いてる様子が見えるけど何の話をしているのかはわからなかった。


「さあ、ヒコ君。話はついたから、そのお友達を探しに行こうか?」


「は、はい! お願いします!」

とヒコは頷いた。

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