第5話 疾風の騎士?
「ヒコ君。そのガントレットはね、イメージがものすごく大切なんだ。疾風の騎士? のイメージをしっかり頭に描いてね」
「わかった!」
ヒコは返事をすると、疾風の騎士団長をイメージして目の前の魔物に立ち向かった。
「さあ、行くぞ!」
ヒコはそう言うと、狼型の魔物に飛びかかり、その首に一撃を加える。
ザシュ!
「よし! やった!」
「すごいじゃないか! その調子!」
「はい!」
ヒコは次々と襲い掛かる狼たちをなぎ倒していった。
「はぁ、はぁ、はぁ。倒したあ!」
「よく頑張ったね、ヒコ君。さあ、コウジ君の所へ」
「うん! コウジ! 大丈夫か?!」
「ヒコ、助けに来てくれたのか?」
「無事だったか。よかった! でも、オレたち、なんでこんな森にいるんだろう?」
「俺にもわからない。信号を渡ってたら後ろからドンって押されてさ。気がついたらここの森にいて」
「お前もそうなのか?!」
「ああ、何がなんだかわからないうちにあの狼に襲われて」
「そうなんだ。とにかくコウジが無事で良かったよ。あ、そうだ! ヨーコが一緒じゃなかったか? ヨーコは?」
「え? ヨーコ? いや、俺は気がついたら一人でここにいた。ヨーコは信号の向こうで手を振ってて」
「そうか。ねえ、ミーノルさん、もう一人オレたちの友達がいるはずなんだけど」
「うーん、さっき、ロックスが鳥を飛ばしたんだけどこの森の中には他に人はいないみたいだねえ」
「そんな?!」
「ほらほら、二人ともそんな顔をしないの。もしかしたらそのお友達はこっちの世界には来ていないのかもしれないじゃない」
「うん、そうかも知れないけど」
ヒコは肩を落としうつむく。
しばらくの沈黙のあと、コウジがヒコに話しかける。
「で、ヒコ。なんだよ、お前の格好?」
「ん? え? ああ、これはミーノルさんが付けてくれたこれがピカッと光ってこうなった」
「全然わかんないよ」
「ああ、えっと、君はコウジ君、でいいのかな? 僕はミーノル。魔導技師なんだ。この森でたまたまヒコ君に出会ってね。コウジ君を探すのを手伝ってたんだよ」
「あ、すみません。ちゃんと挨拶してないです。助けていただいてありがとうございます。コウジと言います。ヒコとは幼なじみの同級生です」
「いやいや、いいよいいよ。ご丁寧にあいさつをありがとう。それにしても、ヒコ君のその恰好はなかなか似合ってるよね。カッコいいね」
「え? ほんとうですか?! 嬉しいです! これ、ゲームのキャラのコスプレをしてるみたいです!」
「げえむ? きゃら? こすぷれ?? わかんない言葉ばっかりだけど、ま、これでこの二人も信じてくれたと思うよ、ね」
ロックスともう一人の従者は顔を見合わせなんとなくばつが悪そうだ。
「ん? なんのこと?」
「ああ、いいのいいの。大人の事情ってやつだから、気にしないで。さて、ヒコ君、コウジ君、これからのことを少し話し合う必要があると思うんだけど、少し行った所で休憩と食事をしながらで大丈夫かな?」
「「はい!」」
二人ともお腹がペコペコだったことを思い出したのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます