第22話 賑やかな世界(かなり改訂バージョン)

柳薫という少女に告白された。

俺は衝撃を受けながら智和にくすぐりの刑を与えられそのまま何とか逃げる。

それから騒がしい廊下を歩いて教室に戻ると横須賀が居るのに気が付く。

教室で指示をしている。

そんな横須賀に声を掛けてみる。


「横須賀」


「.....あら?どうしたの?」


「いや。監督だしな俺は」


「助監督が居るから大丈夫よ。でもそう言ってくれて有難う」


そして盛況の教室を見る。

教室ではパンケーキやら色々な物が出されていた。

俺はクラスメイトが扮したメイドとかのその姿を見ながら、ふむ、と思う。

それから横須賀を見ていると。


「どうしたの。何か悩んでいる顔だけど」


「.....いや。悩んでないな。すまん」


「そうかしら。.....また女運が悪かったのかしら?」


「い、いや。何を言ってんだ。まあそんな事は無いけどな」


「そうかしら?怪しいわね」


クスクスと笑う横須賀。

俺はその姿を見ながら苦笑いを浮かべつつ周りを見る。

そうしていると、貴方は不思議ね、と横須賀が呟く。


俺は、?、を浮かべて横須賀を見る。

横須賀は俺を少しだけ見て、貴方と出会ってから不思議な事ばかりよ、と、ククク、という感じで笑みを浮かべてくる。


「うん?不思議な事ってなんだ?」


「より詳しく言うと貴方は私の見れなかった世界を見せてくれる。そういう事かしらね」


「そんな事は無いけどな」


「私は周りの人達を信頼してなかった。それなのに貴方は私がそんな人間を信頼出来ないのに代わりに信頼出来る様に動いてくれる。それが不思議ね。そう思わせてくれるのもね」


「.....」


俺は、そうか、と返事をしながら見る。

私ね。母親と父親が厳しいの、と切り出してくる。

俺は、そうなのか?、と返事をする。

頷きながら横須賀は窓から外を眺め見た。


「その為に私はピアノ教室に無理矢理通わされたりして嫌だったから逃げた。.....そしたらこんな楽しい事になって。貴方の周りは花が咲く様ね」


「大袈裟だな。俺は何もしてない」


「貴方は信頼されているわ。みんなにね」


「持ち上げるなって。そんな事は無いから。.....まあ多少はあるかもしれないけどさ」


横須賀は、ええ、と柔和に返事をする。

それからお客さんに呼ばれて横須賀は行く。

俺はその姿を少しだけ溜息を吐いて見る。

そして窓から外を見る。

そうしていると.....ドアが開いた。


「あ。居た」


「お、お前は確か柳だったな?」


「そうです。.....柳薫です。覚えて下さい」


「あ、ああ。で。何をしに来た」


「私とデートして下さい」


「バカかお前は。直球すぎるわ」


私は綿菓子が食べたいです、と返事をする柳。

話を聞けや、と思いながら柳を見る。

すると柳は俺の腕に絡みついて来た。

それから見上げて来る。

真顔である。


「な、何をしているのかな?」


「だってデートですから」


「バカな!デートなんかやらないぞ!」


「私は綿菓子が食べたいです」


「話を聞け!」


「パンケーキが食べたいです」


「話を聞け.....」


コイツという奴は。

思いながら俺は盛大に溜息を吐く。

それから額に手を添えて周りを見渡すと.....女子達がヒソヒソ話していた。

ジト目で、だ。

浮気?、的な顔をしている。


「何を見せつけてくれているのかしら?長谷君」


「.....横須賀。これには訳がある」


「貴方には彼女さんが居るのでしょう?」


「コラァ知ってんだろお前ぇ!!!!!居ない!誤解を生むからな!?」


「そうかしら?」


顔厳ついしな!めっちゃ迫力あるな!

思いながら俺は横須賀を見る。

すると、私が彼女です、と真顔のまま柳が言葉を発した。

拗れるからなぁ!!!!!


「貴方は誰かしら?さっきから馴れ馴れしいけど」


「私は仁さんの彼女です」


「.....そうかしら?そんな冗談は聞いてないわ」


「ややこしいな!?」


するとまたガラッとドアが開いた。

それから息を切らした七瀬が。

俺を見ながら、先輩。そして薫。何しているの!、と言ってくる。

な、七瀬。助けてくれ、と言うが。


「浮気している人は知りません」


「浮気じゃ無いって言ってんだろうぅ!!!!?」


「奏。私の彼氏になんの用」


「薫.....彼氏じゃないから。貴方の」


「彼氏」


もー!!!!!

とにかく離れなさい、と七瀬が絡まって来る。

そしてギャイギャイ大騒ぎになった。

俺はその間に、面倒臭、と思ってまた後退りしてそのまま逃走しようとした。

だがそれに対して横須賀が聞いて来る。

コラ、と言いながら。


「貴方は何処に行くのかしら?」


「横須賀。勘弁してくれ。俺は面倒なのはゴメンなんだ。逃げさせて頂く」


「逃げてどうなるのかしら?彼女さんを残して逃げるのかしら?」


「お前な.....」


パチンと手を鳴らした横須賀。

そして目の前に立ちはだかった女子達。

俺はその光景に愕然としながら居ると、パイセン、と声がした。

何処に行くんですか?、と聞いてくる.....ヒィ!?


「逃走は許されません」


「そうだね。薫。そこだけは一致だね」


「.....勘弁してくれもう.....」


それから俺は教室から逃走出来なくなった。

んでどうなったかと言うと。

デートが始まった。

それは俺と柳と七瀬で、である。

何でこんな事に。



「お前にそんな趣味があるとはな」


「笑ってないで助けろ。お前」


「喧しいわ貴様」


「いやそう言わず。智和。助けてくれ」


俺は椅子に拘束されていた。

側には柳と七瀬も居る。

そして周りには女子と男子が俺を囲む様に居る。

勘弁してくれってか何で俺はこんな目に?

思いながら俺は額に手を添える。


「いい気味じゃないか」


「日頃の恨みを晴らせそうだな」


「確かにな」


「お前らざけんな。離せ」


椿も参加して佐藤も参加して。

とにかく入り乱れている。

困ったもんだな、と思いながら俺は盛大に溜息を吐く。

すると智和は、でももう懲りただろうし解放してやっても逃走しないと思うぞ、と周りを優しく諭してくれた。

それから縄を解く。


「.....ったくお前らふざけやがって」


「まあしゃーない。恋の恨みは恐ろしいからな」


恨んでいると智和が、それはそうと客だぞ、と言う。

俺は、誰だ、と言うと。

目の前から眼鏡を掛けた碇ゲンド◯の様な親父と八鹿が現れた。


「.....お前にそんな趣味があるとはな」


「何しに来た。親父。って言うかアンタのセリフは既に智和が言った」


「まあまあお兄ちゃん。なんだか楽しそうじゃん」


それから椅子に腰掛ける親父と八鹿。

そして業務に戻って行くクラスメイト。

七瀬と薫も椅子に腰掛ける。

サラッと何をしてんだコイツら、と思うが。


「久々だな。お前の親父さん見るの」


「そうだな.....。まさか文化祭に来るとはな」


思いながら親父を見る。

すると親父はスマホを片手に俺を撮り始めた。

何をしているんだコイツ。

考えて言うと親父は、何をって成長記録を撮っている、と真面目な顔で話した。

いや馬鹿なのかコイツは?


「止めてくれ。親父。七瀬も柳もいるんだぞ」


「七瀬とは?柳とは?そこに居る子か」


「あー.....後輩だよ」


「ふむ。お前の将来の婚約相手が2人も居るのか」


「.....アンタ.....」


七瀬も柳も恥ずかしがっていた。

男子達がチッと妬みの言葉を吐く。

そして女子達はキャーキャーになっている。


まさにカオスな状態だった。

俺はその姿を見ながら盛大に溜息を吐く。

そして、何をしに来たんだ親父は、と聞くと。

親父は、文化祭ぐらいは来たいと思ってな、と答えた。


「.....お前に、心から大切なお前に会いたかった」


「キモいんだが」


「そんな事を言うな。我が大切な息子よ」


「......」


面倒臭いな。

思いながら俺は額に手を添えた。

そして、どうしたものか、と考える。

しかしまぁ親父が来るとはな.....。

そこだけは何というか喜ばしいのか何なのか、だが。

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