第6話 漫画とラノベと繋がりと

トチ狂った感じもそうだが。

辺になっている奴を相手にしてしまった事は反省すべきだと思う。

そして警察とかにも通報した方が良いとは今は思う。

でも警察ももう陰から動いている感じはするんだよな.....。


それに時雨の家族とかが陰ながら通報してないだろうか。

一途な望みを託すが.....。

此方側から手を出す必要があるだろうか。

悩んでしまう。

今日考えて全てが駄目なら警察に話をしようかとは思うが。


そんな俺だがまあ何というか。

かなり衝撃を受けてショック?というか。

とにかく本当に衝撃である光景を見てしまった。

本当に衝撃だ。


「すいませんでした。お見苦しい姿をお見せしてしまい」


「.....まあでもお前が平手打ちしなければ俺の方が手を出していたな。.....お前の手を汚す羽目になって申し訳ない感じだわ」


「.....先輩。これ噂です。.....あくまで噂の範囲ですが。聞きましたけど.....あの2人は校内でエッチしていたって事も聞きました」


「.....ガチの本当に救いようが無いな.....」


「そうですね.....」


正直。

マジに薬物なら。

断ち切るのは難しいと思う。

だがそれにしても校内エッチとかヤバすぎんだろ。

彼氏居るのに、だ。


どれもこれも一宮が全部を操ったせいか?

どう考えても悪魔の所業だな.....。

しかし本当に一宮はドクズになったのだろうか。


ここまで様々な面で裏切られると衝撃が強過ぎる。

最悪の気分以上の最悪である。

ゲロを吐いてもおかしくないとは思う。


「.....何か穢らわしいですね本当に.....」


「.....そうだな.....」


「.....でも良かったんじゃない?仮にも常盤さんに見捨てられて。お兄ちゃん。別れも切り出せたしね」


「まあ最早NTRどころじゃないな。使い捨て懐炉かな俺は、って感じだしな」


でもまあなんつうか。

途中までお付き合いは上手くいっていた気がする。

いきなりこうなってしまった。


今となっては幼馴染が外道すぎて言葉が出てこないが。

一宮も外道すぎる。

思いながら俺は額に手を添えて悩む。

クソッタレだわ。


「あ。そうそう。先輩。.....全く話が変わりますがこの漫画、面白いですよ」


「.....ああ.....っていうかお前.....漫画とか読むのな?」


「はい。私は先輩と同じ.....じゃなかった。.....趣味を幅広くしてみたいんですよ」


「.....?」


俺はクエスチョンマークを浮かべながら七瀬を見る。

七瀬は恥ずかしがりながらモジモジする。

その姿を見てから漫画のページを捲ってみる。

うん?これは何だ?異世界転生ものか?

凄いな、こんなものを読むとは.....。


「原作を読んでみたいんですが.....その。.....ラノベは文字が目が疲れそうで.....怖いんです」


「うん?.....大丈夫じゃないか?お前はなろうとかのネット小説が好きなんだろ?」


「ネット画面は平気です。.....でも実際の読書は漫画以外はあまり好きじゃ無く苦手なんです」


「いやちょ。意味が分からないんだが.....?それはその。電子書籍に頼れば良いんじゃないか?」


「ああ。でも.....その。つまりですね。縦文字が苦手なんです」


「ああ。それなら分かりやすいな。成程な。それで漫画か」


しかし縦文字が苦手とは、と思いながら俺は七瀬を見る。

そして持っていたその本を置いた。

それから飲み物を飲む。

すると八鹿が話し始めた。


「でもでも。分かりますよ。それ」


「.....あ。分かる?八鹿ちゃん?」


「はい。何だか文章とか文字を読むのって疲れますよね。.....お兄ちゃんの事は尊敬しています。だってずっとライトノベルを読んでますもの」


「そうだねぇ.....私が知り合う前はずっと異世界転生ものを読んでいたみたいだしねぇ。恋愛ものとかも」


「そ、それは.....。いや。っていうかバラしたりするなお前ら」


「えへへ。先輩の事何でも知っていますからね」


そしてその真っ赤になった俺に柔和な顔をする七瀬。

それから俺に向いてくる。

何だ?、と思っていると、先輩。本を貸して下さい、と言ってくる。

ん?何の本だ?太宰治か?それとも芥川龍之介か?、と思っていると予想外の言葉を七瀬は放った。

違います。そんな難しいのは読めないです、と言いながら頬を朱に染める。


「先輩の持っている色々なジャンルのライトノベルですよ。貨してほしいの」


「.....は!?ライトノベルってギャルのお前の次元じゃないだろ!?まさかだな!?」


「言いましたよね?私は先輩の知っている事を知りたいって。それにちょうど.....活字を読む練習もしたいんです」


「いや.....ラノベとか練習にならないだろ」


「私は.....先輩の知っている事を知りたいです。.....そして私が知っている事を貴方に知ってほしいんです」


「.....何でそこまでするんだよ」


それは.....内緒です、と言いながら人差し指を唇に添えてウインクする七瀬。

俺は赤くなりながらその姿を見る。

何だってんだそれは、と思いながら。

本当に何というか誤解するからなそういうの。


「えっとですね。.....私はあんな変な人とは違います。.....私は貴方を心から尊敬しています」


「.....!」


「.....だから先輩の好きな事を教えてほしいです」


「.....そこまで言うなら良いけど.....つまらないぞ?俺の趣味とかウィンドウショッピングとかやってチークとかマニキュアを買っているお前と違うし」


「それでも良いんです。.....私は別次元でも先輩の趣味の何もかもを知りたいんです」


何でそこまで必死なのか訳が分からない。

八鹿に至ってはニヤニヤしている。

だが.....まあ知りたいと言うなら教えんでもないけどとそう思いながら俺は盛大に溜息を吐きながら、待っていろ、と言いつつ2階にそのまま上がる。


それから趣味で読んでいるライトノベルを数冊選ぼうと.....探していると。

何故か、わ。ココが先輩の部屋ですか、と七瀬が入って来る。

いや、何をしているんだ!?

俺は慌てる。


「先輩は文学的ですね。.....天井まで本がいっぱいじゃないですか」


「.....お前な。勝手に人の部屋に来るなってばよ」


「私は先輩の事を何でも知りたいので。それに.....私は待ってるの嫌いです」


「.....ドン引きだろ?アニメグッズいっぱいだしな」


「いや。ドン引きとか言いましたか?私。一言も言ってないですよね?」


俺は目をパチクリする。

それから、可愛いですね。ポスターのその女の子、と言いながらポスターに指を差した。

ビキニ姿の女の子のポスターだ。

雑誌の付録だったのだが。

ギャルが喜ぶ代物とは思えない。


「.....まあな。.....これ雑誌の付録だよ。可愛いかな」


「可愛いです。.....あ!先輩!良い事思い付きました!今度アニメショップでデートしたいです!」


「アホか!?お前な!アニメショップでデートとか!.....っていうかデートって!」


「私にとってはデートです!」


猪突猛進な感じだな!

というか何でいきなりデートまで至るんだ!

付き合っても無いんだぞ!

誤解する言葉を使うな、と説教しながら、ほら。ライトノベル。これを貸すから出て行ってくれ。夜だし時間も無いだろう。帰らないと、と言ってみる。


七瀬は、ですね。はーい、と大人しく出て行った。

そして俺も付いて行く様に下に降りてから。

七瀬と少しだけ話してから見送る事になった。



「先輩。.....今日は本当に有難う御座いました」


「.....ああ。.....今日は偶然なれど助かった」


「.....そうですか?私、あの人に怒っただけですけど」


「.....それでも十分助かった。.....俺にとってはな。サンキューだわ」


18時30分になってしまった。

俺は七瀬を見送ろうと玄関に出て来る。

さっきは18時だったのにな。


時間経つの早い。

八鹿も見送る為に出て来る。

そして七瀬を見た。


「.....七瀬」


「はい。何でしょうか」


「.....正直言ってな。.....俺だったら幼馴染の事は.....その。複雑な感じだったと思う。手出しとかの次元じゃなくて俺も飲み込まれていたかもしれない。だからお前が手出ししてくれて怒ってくれて助かった。.....感謝しているよ」


「.....私は私なりの思いを打つけただけです。感謝される程の事はしていません」


「まあそう言いながらお前は大活躍だったよ」


「そ、そうですか?.....え、えへへ」


それから七瀬は、ではでは、と頭を律儀に下げて帰って行った。

俺はその姿が小さくなるまで見送ってから。

そのまま八鹿を見る。

ジッと目の前を見据えていた。


「本当に皮肉だね」


「.....何がだ?」


「.....この世界にはあんなに良い人が居るのに。.....それなのに」


「.....アメーバとかじゃ無いんだからゴミクズの様な変な奴もこの世には居るって事だ。それは仕方がない」


「.....まあそうだね。お兄ちゃん」


そして俺達は家に戻ってからそのまま夕食を準備して食べ始めた。

今日の夕食は親子丼であるがかなり美味しい。

八鹿の料理の腕が上がってきているのだろうか。

相当に美味しかった。

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