第7話 混沌の世界

正直言って幼馴染とこの先、接触する事は無いと思える。

だがそれはそうとして時雨の件、一宮については警察に相談する必要があると思える感じだ。

それは情けとかじゃない。


俺達の身に.....関連して何か起こってでは遅いと考えたから、だ。

そう考え時雨の未来の為を考えて明日、相談しようと固く決意した。

これらについては証拠が無いが.....どうしたものか、とは思うが。


良かったと思える様にしなければ、と思う。

この先も関わり合いを持ちたく無いって思うが。

そう考えながら俺は空いた本棚を見ながら横になっていた。

取り敢えず警察は明日、だな。


「しかしまぁこんな我ながら変な本棚に隙間が出来る日が来るとはな。.....誰かに本を貸す時が来るとは思わなかったな.....」


そんな事を呟きながら俺はその日は眠りにつく。

そして翌日になっていった。

朝になった様だが.....ゴソゴソと音がした。

俺は?を浮かべて目の前を見てビックリ仰天する。

何故ならとんでも無い事になっていたから。



「な、に?」


俺はまさかの事態に固まった。

何が起こっている!?、とそう思いながら俺は目の前の七瀬を見る。

七瀬は俺の横で横になっていて寝息を立てているのだが.....。


一緒の布団で女子が寝てる。

これは何が起こっているのだ!?

何で一緒の布団で!?


「スースー.....」


「いやスースーじゃねぇよ.....何だよこれ!!!!?」


訳が分からないまま飛び起きる。

学校に行かなければならない。

それから七瀬を見る。


七瀬はそれでも寝ている。

胸が大きいなコイツ、と思ってしまうがそんな事を言っている場合ではない。

起こさなくてはならない。


「七瀬?七瀬!」


「.....う.....うん?.....あ。先輩.....」


「.....お前何をしてんの?男子の布団に入って!」


「見て分かりませんか?モーニングサービスですね」


「.....いや。分からないから。.....勝手に入るんじゃない。俺が獣だったらどうする気だった」


ふむふむ。でも私、男子とはいえ先輩なら信頼しています、と笑顔になる七瀬。

いやそういう問題じゃないんだが?

俺は七瀬を苦笑いを浮かべて見てみる。


すると七瀬は、何ですか?それとも先輩ってえっちな事をするんですか?、と胸元を隠しながらニヤニヤしながら言ってくる。

いやまあしないけどな.....。


「.....ちょっと胸が大きいとは思ったがそんな事はしない」


「.....お、おう。結構.....素直ですね。.....まあそれに免じて許しましょう。それに事実、襲わなかったですし」


そう言いながら七瀬は勢い良くベッドから降りる。

それから時計を見てから、先輩。早く降りて来て下さいね。.....時間無いですよ?、と後ろ側に手を回して言う。


いやこうなったのは誰のせいだ、と思ったが。

まあ良いかと思いながら、分かった、と返事をした。

すると七瀬が胸を見てから持ち上げる。


「それにしても先輩ってば胸の大きい女の子が好きなんですか?」


「.....いや。うん。.....もう行け。良いから」


「カレンダーにもありますよね。確かに。おっぱいの大きい女の子」


「そうだな.....そうだよ!だから早く行け!」


俺はガリガリと頭を掻きながら七瀬を見る。

七瀬は、はーい。御免なさい、とニヤッとしながらも出て行く。

やれやれだ。


しかしこんなにするとはアイツは俺が好きなのか?

まあそんな訳無いか。

俺は否定しながら頭を振りつつそのまま準備の為にカバンに物を詰め込んだりした。

そして鞄を持つ。



「お兄ちゃん。行ってらっしゃい。それから七瀬さんも行ってらっしゃい」


「はーい」


「お前さんや。何でそんなに馴染んでるの?」


「馴染んじゃ悪いですかね?」


「いや。そうは言わないが.....何というかあまりに家族っぽいから」


行く途中。

すると七瀬は真っ赤になって、ふぁ!?、と反応する。

いや何でそんな反応をするのか。

思いながら居ると七瀬は、そんな事無いですもん、と首を振った。

ふむ?


「.....まあ良いか。.....じゃあ行ってくるから。八鹿。戸締まり宜しく」


「そうだね。.....気を付けてね。家の鍵閉めたら私も出るから」


「.....ああ。気を付けてな」


それから玄関を開けてそのまま互いに八鹿に挨拶してから登校する。

すると.....。

目の前に俺の後輩。


つまり根本の原因の一宮勇人(いちみやゆうと)という人間が1人で登校しているのに気が付いた。

茶髪になっているのだが.....成程な。

クズになった訳だな.....というか黒髪はどうした。


俺は眉を顰める。

立ち止まりながら別の道を行こうとした。

すると一宮に気付かれた様で俺に対して、あれ?先輩、と言ってくる。

信号が青になっても立ち止まったまま。

俺は溜息を吐いた。


「奇遇ですね」


「奇遇もクソもあるか?お前.....人の彼女奪っておいてよく平然として.....というかお前。時雨に何か飲ませたか」


「やだなぁ。奪った訳じゃ無いですよ。あくまで彼女が接して来たから受け止めただけです。.....それに何かってのは何を?」


「覚醒剤とかな。正直言ってお前の様なゴミクズは処分したい気分だが」


「僕は何もして無いですよ。覚醒剤?犯罪じゃないですか。意味が分かりません」


「.....」


しらばっくれる気か。

正直コイツが何かを時雨に飲ませたのは事実だとは思う。

何を飲ませたかは知らんがとにかく最低だと思う。


今はその証拠も無い。

だからその確定した事を言えない。

でももう何というかごっちゃごちゃだ。

話したくない気分だ。


そうしているとそんな俺に。

こうなったのも貴方に魅力が無いからですよ、と一宮が囁く様に言ってきた。

俺はその言葉にブチッとなってイラッとしたが。

そのまま黙々と歩く。


だが同じ方角なので.....当然だが成り行き上、一宮も付いて来る事になる。

一宮の無駄なおちょくる話は止まらず。

今度は七瀬にニヤッとする。

それから俺に向いてきた。


「.....しかしまあ何というか。お馬鹿さんと付き合っている先輩も大変ですね」


「.....あ?」


俺は流石にその一言に、何つった、と向く。

七瀬の事か?

そして俺は勢いのまま一宮の胸ぐらを掴む。

勘違いしてもらったら困るが。

彼女は良い子だ。.....お前の様な怪しいゴミクズと違ってな、と言う。


「.....それはどうかな?.....だって仁先輩の周りに居る女の子ってみんな何だか馬鹿の様な気がします」


「.....この子は彼女じゃない。.....だがな。.....俺とは仲が良いんだ。馬鹿じゃない。今直ぐに訂正しろ」


「いやだって。事実を述べているだけですよ?僕は。馬鹿は馬鹿でしょう。勿論、貴方の幼馴染さん以外ですが」


「.....」


事実だとこのクソバカ。

お前の事、警察に突き出しても良いんだぞ、と言いながら俺は思いながら拳を思いっきり振り上げた。

そして殴りかかろうと思ったが。

七瀬がそれを止めてからそれから首を振る。

同級生とか下級生とかが何事かと足を止め始めた。


「.....先輩。ダメです。.....こんな.....相手への攻撃は何も解決しません。こんな場所で暴力も良くないです」


「.....だが七瀬。お前だけ拳を汚す訳にはいかないだろ.....」


「先輩。私は大丈夫ですから。私は勢いがあって彼女を.....その。殴っちゃいましたけど.....殴ったら負けって言ったのは先輩ですよ!」


「.....」


俺は一宮の胸ぐらを掴んでいた手を離す。

それから通報寸前の通行人を見てから一宮を見る。

一宮は、怖いですね。だから彼女は僕に向いたのかな、と言い始める。

こんなに清々しいドクズだと頭が痛くなってくる。

俺は言い放った。


「証拠を集めたらお前に全て投げる様に提示してやるよ。警察にも突き出す。必ずお前というドクズを制裁する」


「それは怖いですね。仁先輩。でも僕は捕まりませんよ。.....僕のバックには.....」


「いや。説明とかもう良いから。消えろ」


「そうですかぁ。では失礼しますね」


一宮はニヤニヤする。

それから一宮は満面の笑顔で制服を整えてからそのまま去って行く。

俺はその姿を小さくなるまで見てから.....俺は七瀬を見る。

七瀬は小さく俺に笑みを浮かべていた。

でも震えている。


その姿に胸がチクチクと疼いた。

駄目だな。こんなので怒っても仕方が無い。

怒りを我慢しろ俺。

そんな事を思いながらずっと複雑な思いのまま学校に向かった。

そして教室に入る。


そして智和を見る。

智和は俺を見ながら神妙な顔をしていた。

複雑な顔でもある。

何が起こったか知っている様な顔だった。

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