自分と成るための選択

悔やんだって仕方ない過去の選択の数々を

詳らかにしては独りごちる宵闇

味方のいないその旅路に溜息だけが理解者

こんな夜も何度目だっけかな


「こんな人生諦めたぜ」

そう開き直るように呟くのに

次から次に溢れるこの涙は何故だ

その涙こそが僕の誤ってきた選択の数


分かってるのに間違う自身の愚かさと

もう死にかけの心が求める誰かの温みを

埋めてはくれない雑踏の冷たさにまた涙して

こんな夜も何度目だったっけ


「もっとまともな人間だったなら」

恨みと誰かへの羨望をかき混ぜたその言葉

伸ばしてももう届かないことにも涙して

そう思うしかない自身の未熟さをまた悔やんで


言い訳がましく書き綴る粗雑な詩に

誰の共感を得られる訳もなく電子の海に消え

それでも自身の空虚さを埋める手段を知らず

そうして書くこの詩ももう何作目だっけ


自嘲気味にそう笑ってみるけれど

そうせざるを得ない僕こそがまさに僕で

誤ってきた選択で成り立った故の今日

誤ったから話せる言葉を今日も話し


誤ったから次の選択では間違えないようにと

慎重に選べど結果は一緒でまた夜に泣き

だけど同じ解なんてなく

いつかそんな僕の道程に救われることもあって


過去の失敗があるから人の痛みが分かって

そんな僕がまた誰かを傷つけて苦しむけれど

苦しまなきゃ「苦しみ」なんか分からない

肯定する訳じゃないが誰かの温みとなるのも確か


そんな不格好な選択をし続けた僕だから

今日の孤独を憎むけれど

だからこそ出会えた人達と場所を恨みたくないよ

そうする為には少しでも僕を肯定しなくちゃ


人より出来損ないで不器用だけれど

影が無ければ光は際立たない

ならば僕はその影になろう

それもまた僕らしい選択

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