女子高生大爆破計画
ドン・ブレイザー
第1話 日曜日
日曜日
とうとう次が最終テストだ。次の実験が成功すれば完成、明日の本番には間に合った。
「いつもどおり、5分30秒でセットします」
「心の準備はいい?」
「はい」
スイッチが押された。何回実験しても、この5分30秒間はどうしても緊張してしまう。 実験し始めのころは、よく暴発させていたこともあって、ほぼ大丈夫だと確信を持ってい る今でも目は離せない。オレンジ色の光に照らされてくるくる回るソレを、私は彼女と2人で見守った。
「5分30秒がちょうどよかったんだね。結構早く分かってよかったよ、大変だったけど」
「でも楽しかったですよ、ものすごく」
私の隣にいる彼女--奥城さんはにこにこ笑っている。いつもはクラスでも目立たず、ほとんど他人と話すこともないのに、この実験の時だけはやけに生き生きとしている。
そうこうしているうちにもう残り時間が1分を切った。
「もうすぐだね。私が投げるから、奥城さんは離れて待ってて」
「了解」
奥城さんが離れる。さあ、ここからは私の仕事だ。タイマーが残り10秒を切り、私は構 える。
「3、2、1!」
タイマーがゼロになった。その瞬間私は扉を開けてソレをしっかりと掴み、思い切り放り投げる。
投げられたモノは空中で大きな音を立てて、爆発した。脳髄まで響く大きな破裂音と 衝撃波、それとほのかにあまい香りを残して。
実験は成功した。後はこれと同じことを明日学校でやるだけだ。
「高橋さん、バッチリですね!」
奥城さんも笑顔で駆け寄ってきた。私も思わず顔がにやける。
私高橋舞とクラスメイトの奥城鈴さん。私たちはどこにでもいる普通の女子高生。
そんな普通の私たちは、今一緒に爆弾を作っている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます