第4話 ライバースを探検

今日は日曜日らしく、皆散歩や食事、ショッピングを楽しんでいる。

…また転生しそうだし、折角面白い世界に来たんだし、ちょっと探検しよ…

まず大きなショッピングモールに入る。

≪ピリリリリ≫

「ん?」

突然青っぽい半透明の画面が現れた。

≪オサイフサービス起動。アナタノ所持金3万円≫

「凄い…。」

何とオサイフサービスとやらが所持金などを知らせてくれるようだ。

≪ピリリリリ≫

今度は赤っぽい半透明の画面だ。

「ま、また?」

≪ライバースマートサービス起動。≫

もう1つ、サービスがあった。

こちらはものがある場所を教えてくれたり、クーポンを表示してくれるようだ。

…めちゃ便利…

買い物かご(これは進化していなかった。)を持ち、買い物を始める。

「お昼ご飯が食べたいんだけど、サンドイッチってどこに売ってる?」

ライバースマートサービスの音声検索で探す。

≪コチラデス≫

画面に地図が現れ、サンドイッチがある棚が光っている。

「ありがとう。」

≪イエイエ≫

何となく呟いただけなのに、返答が来た。

…すご…

サンドイッチとジュースをカゴに入れ、会計をしたいのだが。

…どうやってやるんだろう…

二度の転生経験から、あまり余計なことをつぶやかない方が良いことはわかっている。ここは小声で。

「会計場所を教えてくれない?」

≪ソンナ物ハアリマセン。ココデオサイフサービスヲ使イ、会計シマス≫

…そうなんだ…

端に寄り、オサイフサービスで会計をする。

≪アリガトウゴザイマシタ。ライバースマートサービス、シャットダウンシマス≫

≪マタオコシクダサイ。オサイフサービス、シャットダウン≫

スーパーを出る。

「公園かなんかないかな…?」

≪マップサービス、起動≫

「わ」

あっという間に公園の場所が分かった。

公園までふよふよと泳ぐように移動していく。

「⁉」

…なにこれ、近代的すぎんか⁉…

横を向けば円柱の青緑の木が周りを囲んでいて、下を向くと石畳―うっすらプログラミング言語のようなものが時折見える―が敷き詰められている。

木と同じくかくかくした蝶々が辺りを飛んでいる。

幾つかベンチのような物があったので、そのうちの1つに座り、サンドイッチを食べてみる。

…今思えば、仮想空間なのに味するのかな?…

「!」

…美味しい…

普通に美味しいし、ちゃんとお腹いっぱいになった。

ジュースもちゃんと液体だ。

不思議。

「あ、ナイラ!久しぶり。」

…ん?誰?…

突然誰かが話しかけてきた。おそらく同年代だろう。

…わ!もしかして、またあれ?…

そういえば、まだ記憶が入ってきていなかった。

またあの脳がかき混ぜられるような感覚になる。

「あ!レイカ。久しぶりだね。」

レイカはナイラの友達で、同い年。学校のクラスも一緒。

あと、どうやら今は夏休みだったようだ。

…そういえば、あの身分証明書、小さいから見えないよね。なんでイメチェンしたのに私だって分かったのかな?…

それも記憶で探ってみる。

どうやら仲の良い人とAIに認識されると、上に名前が出てくるらしい。

確かに、レイカのアバターの上には『レイカ』と大きく書かれていた。

「ナイラ、イメージ変わったね!めっちゃ可愛い。」

「本当?ありがとう!」

ちなみにレイカのアバターは紺のクレオパトラカットの髪に、紫色の眼で、

青色のオフショルダ―に、ベージュのワイドパンツだ。

「レイカのアバターも本当オシャレだよね。」

「んー、なんかでもしっくり来てないんだよな。」

「そうなんだ…。ワイドパンツは凄い似合ってる。」

「今度服変えよう。」

「気分に合わせて変えるのとかいいかもね。」

「確かに。」

ピリリリリリ。ピリリリリ。

「ん?あ、レイカの端末、電話着てる!」

「あ、母さんだ。出なきゃだ。…ゴメン、ちょっと待ってて。」

「うん。」

レイカが少し離れた場所に移動した。

「うん。…うん。…え―⁉…はいはい、分かった。今行く今行く。

じゃあ、切るよ?」

レイカが戻ってきた。

「はあ、母さん急用で、私ルイカの面倒見なきゃいけなくなっちゃった。ゴメン、帰るね!」

「分かった。バイバイ!」

「うん、バイバイ。」

レイカは急いで行ってしまった。

…にしても、本気でこの世界楽しい…

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