第212話 時空管理局タイムリープ隊誕生

 タイムリープは時代を遡ると当時に、多重世界をも渡り歩いているということが判明した。これが実際の過去改変というものなのだろう。いや、まだ全体像は分かっていないのかも知れない。俺たちは、初めて立ち会っただけなのだから。その意味では、浮かれている場合ではないというのも確かだ。

 女神カリスを始め今回関係した神たちによって、その後の影響調査が継続されることになった。


 それはともかく、このタイムリープが公表されるやいなや、神界では誰もが知ることとなった。となると、単なる話題だけでは終わらないのだった。


ぽっ

 女神ミューゼス登場。っていうか、ウォーター〇ライダーから転移して来た。水着だし。


「ちょっと、大変なことになってるよ」

「えっ? そっちもか」

「わたしの所のミッションだったからね。問い合わせが殺到してるのよ。もう、仕事になんない勢いよ」


 いや、今遊んでたよね? あ、分身体じゃなくて本体のほうか。


「マジか。まぁ、気持ちは分かるけど、気軽に受けられるような話じゃないんだけどな」

「それはそうよね」


ぽっ

 天文学の神プトレ登場。


「いや~、困った。女神ビーチで遊んでたら、女神達に質問攻めだよ~っ」


 なんで女神ビーチにいるんだよ。男神は普通のビーチへ。俺は別。


「だって、引っ張り込まれて」

「そうですか」


 嬉しそうだな。


「ち、違うよ。大変だったんだよ。本体の方も問合せが殺到してるらしい」

 でも、ニヤけてるけど?

「ふうん」

「あ、本気にして無いな!」

「いや、『嫁にしてください』って言われただろ?」

「えっ? どうして知ってるんだ?」


 やっぱりか。


「それ、神界の新しいギャグらしいぞ」

「ほんとか?!」

「真に受けるなよ」

「ううっ」


 ま、俺は真に受けたんだけど。


「いや、でも沢山言われたんだけど?」


 だから、沢山のギャグだって。


「そんな嬉しい悩みは自分で解決しましょう」

「いや、違うって。過去の自分を救ってくれって話だよ」

「ああ。なるほど」

「そういう要求って、沢山あるもんなんだな?」

「そうらしい。でも自分もタイムリープしないとダメだよな? ちょっと対応に苦慮してるところだ」


「まぁ、個人的なお願いはだめだろう。誰かを助けると誰かが不幸になるんだろ? それ」

「いや、流石にそれはなんじゃないか?」

「いずれにしても、第一神様にお伺いするしかないだろうな?」

「そうよね」とアリス。

「そうね」とミューゼス。

「そうだね」とプトレ。


 俺は躊躇なく連絡した。


ぽっ。

「ふむ。第二神が三名では出て来るしかないのぉ」

 第一神様登場。


「お騒がせしてます」

「いやいや、これだけ騒がれるのも無理のない事じゃ。それだけインパクトのある出来事じゃからな」

「今回は、思ったよりうまく行きましたが、いつもそうとは限りません」勘違いされると困るので、一応言っておいた。


「そうじゃのぉ。幸運というのもあるじゃろうしのぉ。それにしても、これは神界を挙げて支援する活動になるじゃろう。勿論わしのところにも沢山の問合せが来ておる」

「やはり、そうでしたか」

「うむ。当然じゃな。これだけではないしの。『未来視』、『過去視』、『タイムリープ』は全て繋がっておる。これは、神界を揺るがすほどの一大事業となるじゃろう」と第一神様。

「一大事業……」ちょっと、やばい?

「とりあえず、世界へ与える影響が大き過ぎる。法制化なども含めて十分協議しておく必要があるじゃろ。ひとまず、受け付けはわしのところとしよう。お主のところでは、体制を整えることに専念してもらいたい」


「はい、そうですね。こちらとしましても、今回の救助チーム1つが精一杯ですので、それでお願いします」

「そうであろうのぉ。では、組織作りはお主に任せた。拠点はここでいいかの?」

「そうですね。ここで時空管理局のようなものにしたいと思います」

「ふむ。いいじゃろう。では、頼んだぞ」


 第一神様は、そう言って帰って行った。


「おお。安心した。これで、何とかなるな。要請は第一神様へだ」とプトレ。

「そうね。これで、開放されるわね」とミューゼス。


「あれ? 二人とも、なに安心してんの? これからじゃん」

「これからって?」とプトレ。

「これから?」とミューゼス。


「君たち、タイムリープ隊員だから。今回の救助チームって言っただろ? これ、決定だから」


「「ええええ~っ?」」


 当然だよね。第一神様の承認もらったし。第二神を使いまくる俺。


 こうして、惑星リラ救助隊はそのままタイムリープ隊になることになった。これがベストメンバーだしな。

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